M&A戦略 MK0221 鈴木達也 目次 はじめに 1.M&Aとは 1.1 現状と近年の特徴 1.2 M&Aの形態 1.3 M&A活性化の背景 2.ケーススタディ 2.1 (実行と非実行との差)プジョー・シトロエンとダイムラークライスラー 2.1.1 両社の現状 2.1.2 合併に対する考え 2.1.3 両社の今後の動き 2.2 (成功事例)小林製薬のM&A 2.2.1 M&Aによる多角化 2.2.2 M&A案件の独自の評価方法 2.2.3 小林製薬の今後 2.3 (失敗事例)三菱化成と三菱油化の合併 2.3.1 失敗の原因 2.4 (失敗事例)古河電気工業の買収 2.5 (非実行の事例)帝人と杏林製薬の破談 3.M&A契約前と契約後の注意点 3.1 買収ターゲットの選定 3.1.1 ロング・リストとショート・リストの作成 3.1.2 買収ターゲットの最終選定 3.2 事業価値評価とデューディリジェンス 3.2.1 事業価値評価の重要性と注意点 3.2.2 デューディリジェンスのポイント 3.3 人的資源問題と組織改革問題 3.3.1 M&Aの成功・失敗の原因 3.3.2 好意,愛着心,コミットメントの獲得 3.3.3 組織構造 4. 結論 謝辞 参考文献の引用個所 はじめに 本論文ではM&Aを広義に捉え,M&Aの手段を幅広く取り扱っている.最近では, 単なる規模の拡大を目指した合併や買収だけではなく,事業の撤退・縮小,グループ 再編,提携などさまざまな局面でのM&Aの活用が増えている.たとえば,提携は技 術ライセンス提携,共同研究,事業統合といった多様な面をもち,M&Aとして扱っ ていない書物もあるが,本論文では経営統合の代替手段としての側面を重視し,記述 の対象としている.本論文は,企業経営の視点に立って,M&Aの仕組み,M&Aが 実行される背景,M&Aの活用方法や留意点を解説したものである. M&Aを取り扱った既存の書物は,@法律・会計・税務といったM&Aに関する制 度を詳しく説明するもの,A合併や買収の代表的な事例を中心にM&Aの実態を描写 するもの,BM&Aの仕組みを図表中心に整理したもの,という3つのタイプに分ける ことができる. 本論文では,(1)にM&Aを理解するうえで不可欠と思われる基礎知識を記述した. (2)にM&Aを実施した企業の成功例と失敗例を5つ取り上げた.また,M&Aの難し さを記述するためにM&Aに至らなかったケースも記述した.(3)は上記のBの形式で ある.M&Aを契約前と契約後に分けて考え,M&Aをする際の留意点を述べた. (3.2)のデューディリジェンスとは,M&Aの実施前に契約者相互の了解のうえ,相手 企業の正確な情報を入手するために行う調査のことをいう. また,(3.2.1)の事業価値評価方式の具体的説明は,本論文には必要のないものと考 え省略した.(3.3)の人的資源問題では,好意,愛着心,コミットメントの獲得を取り 上げ,統合化問題では組織構造を取り上げた.筆者は主にこの2点が重要だと考え,そ の他の人材選抜,昇進,解雇,組織文化などは割愛した.筆者のページへ