駒沢大学経営学部西村ゼミ

 

 

2009年度ゼミ論

 

 

食糧危機

 

 

 

 

 

 

 

20081218

Mk5372  呉豪傑

 

 

1.食糧の争い

21世紀は「飢餓との戦いの世紀」になる懸念がもたれている。現在でもこの地球上には八億五千二百万人もの栄養不足で悩む人たちがいる。この数字はFAO2005年に発表した『世界食糧産業白書』の推計である。

1.1人口増加  この急速な世界人口の増加は、年間出生数約一億八千万人、死亡数約五千万人と、出生が死亡をおおきく上回っていることの結果である。年々追加人口九千万人のうち、約八千四百万人は第三世界で生み出される。その最大の寄与国はインドで、年間一千八百万人を世界人口に加えている。第二位は中国、一千五百万人。

1.2先進国の食糧独占   [毎日]

FAOが栄養不足というのは、人間に必要な基礎代謝の1.4倍以下のカロリーしか摂っていない状態のことを示す。(男性約1500カロリー/日、つまり2100カロリー/日以下)

世界の豊かな国々では、畜産物の消費が土地と水資源の非常に大きな部分を占有している。低所得国では、平均して、一人当たり穀物消費量は年間約200キロである。

1.3発展途上国の発展   [毎日]  [レスター]

人口大国である中国やインドの目覚しい経済成長が21世紀の食糧危機になるという主張をする向きが増えている。

13億人を超える中国の人たちが、現在の先進国並みの食生活を送る日も近づいてくる。

人口10億人のインドは、一人一日あたり二千四百六十キロカロリーであるが、まだ経済成長とともに食糧供給量を増やす必要性は強まりつつある。

1.4貧しい人々の食事   [レスター]

 

栄養不良人口

(100万人)

食事供給量

(Kcal/人日)

先進市場経済国

9.0

3,491

経済移行国

28.3

2,939

近東・北アフリカ

39.2

3,106

サハラ以南アフリカ

203.5

2,254

ラテンアメリカ・カリブ海

52.9

2,848

アジア・太平洋

519.0

2,674

出典:世界食料農業白書2005年報告から

人口比率で見て食糧事情が深刻にはサハラ砂漠以南のアフリカ諸国。コンゴ民主共和国71%、ブルンジ68%、シエラレオネ50%。平均で見ても、栄誉不良人口比率は33%、国民の三分の一が飢えている。

貧しい人々の所得が低下すると、飢えそれ自体の性格が変化する。伝統できには、飢えは地理的に限定されて、不作が起こる場所に集中していた。

2.気候の影響

2.1     [船瀬]

気候変動の結果として、農民は予測不能かつ不確かな水供給や、ますます増えていく干ばつと洪水にさらされることになる。

最も深刻な影響を受けるのは天水農業です。

  

2.2耕地    [船瀬]

農業はharvesting the sunといわれるように、人間は資源植物を用いて行う太陽エネルギー固定産業である。このような作物を用いた太陽エネルギーの固定の場が耕地であり、耕地での作物による太陽エネルギー固定効率を高め、良質の収穫物を得る。

2.3温暖化   [船瀬]

京都議定書から離脱したままのアメリカも地球温暖化の原因について、どうも自然現象だけでなしに人為的影響もあると、20048月下旬に発表した報告書「変化する我々の地球」で初めて認めた。その報告書によると、地球の平均気温は、1980年代から0.7 ℃位上がっている。

3.石油の高騰

3.1石油の使用量  [武田]

使用可能な石油は地球上に存在するだけでなく、実際に採掘できる状態にあることが必要です。

石油不足の原因は、大きく二つに分けられます。一つは埋蔵量の限界です。他の一つは消費量の急増です。ブラジルロシアインド中国の頭文字をとって「BRICs」と呼ばれている経済発展が著しい地域で消費量が増えているからです。

世界の石油消費量

経済産業省の統計

3.2食糧への影響  [FAO]

「需要供給の原理」(買いたい人が多ければ価格は高く、売りたい人が多くなれば価格は低くなる)にそって石油価格は決まってから、需要に応じて供給が十分になされるのであれば、価格は高止まらない。

4.バイオ燃料

4.1バイオ燃料とは   [武田]

バイオ燃料とは、バイオマス(生物資源)を元とする燃料の総称で、主だったものとしては以下のようなものがある。

バイオエタノール 
サトウキビやトウモロコシなどの作物の糖分を発酵させ、エタノールを抽出。ガソリンに混合して、車の燃料とする。

バイオメタノール
 草木を燃焼しガス化させ、さらにメタノール合成装置で、メタノールにする。バイオメタノール同様に、車の燃料として使用可能。エネルギー効率はいいが、燃焼時に発生するホルムアルデヒド(人体に有害)の低減が課題。

4.2先進国のバイオ燃料政策   [武田]

アメリカのブッシュ大統領は、2006年1月の一般教書演説で、アメリカは石油中毒に陥っていると述べ、石油依存・中東依存から技術によって脱却する必要があると指摘した。

EUは、バイオ燃料を将来、安定的に調達するための総合的な施策を実施する。

4.3石油と食糧の奪い合い  [武田]

穀物や糖蜜など食糧を原料にしたバイオ燃料の利用拡大は、穀物や飼料の品薄感を招き、穀物のみならずこれらを原料とした加工食品、食肉価格の高騰を招き、世界的に食糧か燃料かという食糧争奪戦とも言える問題を引き起こすに至っている。

4.42世代のバイオ燃料   [武田]

木質や農産廃棄物などのリグノセルロース系バイオ燃料を原料にするエタノールは第2世代バイオ燃料と呼ばれる。これらの原料は食用との競合は起きず、廃棄物では原料コストも低くなる。

5.対策  [FAO]  [WFP]

 20086月、食料危機問題の方向づけと解決へのコンセンサス

について協議するため、多くの世界の指導者がローマに集まりまし

た。FAOが開催した「世界の食料安全保障に関するハイレベル会合−気候変動とバイオエネルギーの課題」の場では、開発途上国と市場経済移行国における農業および食料の生産拡大、そのための農業やアグリビジネス、農村開発への投資促進に関する合意が、参加各国間でなされました。