ストライキの減少
 
目次
 
はじめに
 
1. ストライキの概要
1.1 ストライキと労働組合
1.1.1 ストライキ
1.1.1.1 ストライキの種類
1.1.1.1.1部分スト
1.1.1.1.1 持ち回りスト
1.1.1.1.2 座り込みスト
1.1.1.1.3 時間スト・短時間スト
1.1.1.1.4 非公認スト・山猫スト
1.1.1.1.5 同情スト
1.2 労働組合
1.2.1 団結禁止法
1.2.2 近年の労働組合の動向
1.2.3 各国の労働組合の形態
1.2.3.1 日本の労働組合
1.2.3.2 アメリカの労働組合
1.2.3.3フランスの労働組合
1.2.3.4 イタリアの労働組合
 
2. 歴史
2.1 団結禁止法
2.2 1914年〜1998年のストライキ数の変動
2.2.2 1918年〜1938年のストライキ数の変動
2.2.3 ILOの設立 [ILO]
2.3.1 1939年〜1945年のストライキ数の変動
2.3.2 1946年〜1956年のストライキ数の変動
2.3.3 変動の理由
2.4 現在の労働争議件数と損失日
2.4.1 現在のストライキ数
2.4.2 各国の労働制度など
2.4.2.1 労働時間制度
2.4.2.2 年間労働時間
2.4.2.3 年間休日
 
3. ストライキと法律
3.1 労働法
3.2.1 ストライキの法律
3.2.2 公務員のストライキ
3.2 労働紛争裁判
3.2.1 個別労働紛争の増加
3.2.2 各国の労働紛争の処理
3.2.2.1 日本の紛争処理システム
3.2.2.2 アメリカの紛争処理システム
3.3 労働相談
3.3.1.1 職場での嫌がらせ
3.4 これからのストライキ数の変動について
 
謝辞
参考文献
 
 
はじめに
 
本論文はなぜストライキの減少しているのかを調べるものである。
近年、日本ではストライキという言葉を聞くことは少なくなった。一方、ストライキが頻繁におこる国もある。しかし、戦前戦後のストライキ数をみると、どんなにストライキ数が多いとされている国でも、ストライキ数は減少の傾向にあることがわかった。
雇用形態や過労死、職場環境による欝病などの労働問題が起きている。昨今ではこのような問題を抱えながらもストライキを起こして労働条件を改善を求めるような運動は起こらなくなった。
特に、世界的に見てみると、日本の労働状況は他国と比較しても、労働時間は長い。有給などの消化率も他国に比べると低いという現状だが、ストライキ数は激減している。
 
 
 
1. ストライキの概要
 
1.1 ストライキと労働組合
労働者が結束し、労働条件の改善を求めるために労働組合が結束され、資本側がその要求をのまなかった場合、戦術の一つとしてストライキがある。
 
1.1.1 ストライキ [wiki スト]
ストライキ [strike]
労働者が労働条件改善などの目的貫徹のため、団結して業務を停止する行為。同盟罷業。同盟罷工。スト。[三省 スト]とあるように、ストライキは労働組合と企業間で労働条件の締結が認められなかったときに起こる労働紛争である。
ストライキは、日本国憲法の第28条で「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これは保証する」と規定されている。国家、地方公務員以外のすべての労働者は」ストライキ権を持つ。
 
1.1.1.1 ストライキの種類
また、ストライキには労働条件改善を資本者に求めるストライキ(経済的ストライキ)や、アナルコサンディカリズム運動と呼ばれる資本主義を打倒しようとするストライキ(社会的ストライキ)がある[藤本01]。
また、ストライキにはいくつか種類がある。また、労働紛争といわれるだけに戦術なども存在する。
 
1.1.1.1.1部分スト
ふつうのストライキでは、街頭組合の全員が参加するのであるが、一部の労働者だけがストライキに入る指令を出すことがある[藤本01]。
これには警告スト的な意味合もあるが、組合員の賃金損失と組合員のスト手当支給金を少なくするために一部の基幹労働者にストをやらせ、生産ストップの影響が全員に出ないようにする戦術をとるのである[藤本01。]
一斉に有給休暇をとることによって賃金を得つつストライキと同等の効果を得ようとするもの。経営側は「不当な休暇権の行使」と主張し、会社から休暇を取るべき時期を変更されることも起こる [wiki スト]。
 
1.1.1.1.1 持ち回りスト
部分ストの一種で、順ぐりに継続的に持ち回りで継続的に持ち回りでストを行うものである[藤本01]。
1.1.1.1.2 座り込みスト
通常のストライキでは労働者はストライキ破りを入れさせないためにピケを立て、労働者は工場外にいるのであるが、千九三〇年代に、アメリカで座り込みストが広がり、またフランスの一九三六年の五、六月の一大ストライキでは。その多くは工場独占を行っていた。アメリカのばあいは、反動的資本家のスト破り(スキャップ)導入を不可能にするための戦術だったようだが、フランスでは未組織労働者を含めて、団結を保持することが目的[wiki スト]。
 
1.1.1.1.3 時間スト・短時間スト
時間ストとは、4時間とか1時間とかあらかじめ時間を定めてやるストライキのことである[藤本01]。 もともとストライキは、無起源に労働者側が労働を拒否し、資本側にプレッシャーを与えるものなので、あまり強い圧力とはならない。
闘争の初期段階や、公共サービスに大きな影響を与える場合など、行われる[wiki スト]。
スト性向の低下した近年はこれの比重は高まっている[藤本01]
 
1.1.1.1.4 非公認スト・山猫スト
普通ストライキは、当該労働組合本部または公認のもとで行われてるものであるが、本部の公認しないストを非公認ストライキまたは山猫ストとよんでいる[藤本01]。
これにはリスクが多く、非公認のため、手当は支給されず、最悪の場合は除名されることもある。このような予期せぬストライキを突発ストと呼ぶこともある。
 
1.1.1.1.5 同情スト
同上ストライキとは、他労働組合がストライキに未突入し、またロック・アウトをうけ、苦境に立っているとき、その闘争を応援するために、同情的なストライキをすることをいう。政府あるいは雇い主またはその両方に対して圧力をかけ、“同情”を受けた労働者を元気付け、もとのストライの有益な解決をねらうものであって、階級的連帯のストライキといっていい[藤本01]
日本では、三井三池争議時に、同情ストが起こった。
 
1.2 労働組合
労働組合は、国によって形態が異なる。
雇用環境の向上などの共通の要求に基づき賃金労働者が自発的に団結して組織した団体である[wiki 組合]。
労働者がその労働条件の維持・改善、また経済的地位の向上を主たる目的として自主的に組織する団体、またはその連合体[三省 組合]であり、企業別・職業別・産業別の形態がある。
日本における春闘で、主に賃上げや労働時間の短縮といった労働条件の改善を目的とした組織である。
 
1.2.1 団結禁止法
資本主義の初期にはどの国でも労働者の団結を禁止する立法がもうけられている[藤本01]。よって、労働組合の発足は19世紀初めになってからになる。詳しい歴史については、2章で詳しく記述する。
 
1.2.2 近年の労働組合の動向
図1を見るとおり、近年ではどの国でも労働組合の組織率は低下している。
近年では労働組合に関する知識もそうだが、関心が薄れている傾向にある。
その他、労働組合の衰退は国によっていくつか原因がある。これについては、1.2.3で詳しく説明する。
 
1.2.3 各国の労働組合の形態
 
1.2で紹介したとおり、労働組合には企業別・職業別・産業別・一般組合などの形態がある。ここでは労働組合の形態を国別に紹介する。
 
1.2.3.1 日本の労働組合
日本では、企業別労働組合が大多数を占めている。
労働組合は、職業別組合から出発し、一般組合を経て産業別組合へと発展していくのが、多くの工業国でみられる展開過程である[wiki 組合]とされているが、日本では、未だに企業別労働組合が主流である。
 
1.2.3.2 アメリカの労働組合
欧米では産業別組合が大多数を占める。
産業別組合単位でストライキを起こすので、回数が少なくとも、一度に損失する日数や参加人数が多くなる。
 
1.2.3.3フランスの労働組合
フランスの労働組合は組織率が低い。
 
1.2.3.4 イタリアの労働組合 [イタ01]
 
性別・人口・労働力人口・労働力率 年齢(15-65) 図 1-2
 
合計
  人口 労働人口 労働力率
日本 (1 83940 61360 73.1%
アメリカ (2 193202 145944 75.5%
フランス (3 39618 27521 69.5%
イタリア (4 38726 24287 62.7%
表1−1
(1 総務省「労働力調査」による現在の人口。国内に住む三ヶ月以上住む15歳以上の日本人と外国人を対象とし、海外の外交官、在留米軍などは含まない。自衛隊と矯正施設の非収容者は含む。
(2 米国商務省 (2007) Current Population Survey(CPO)による。16歳以上の非施設人口を対象。軍人、施設人口海外の外交官、海外居住の米国人は含まない。
(3 フランス「労働力調査」による15歳以上の人口。
(4 イタリア統計局「労働力調査」による15歳以上非施設人口を対象。
 
2. 歴史
資本主義社会では、生産手段を持っている資本階級と、生産手段も消費資料も持たず、ただ自分の労働を販売して、賃金をえて生活を維持している労働者階級に分かれている。[藤本01]
 
2.1 団結禁止法
1791年フランスでシャプリエ法が制定され、それに続くように各国で団結禁止法が制定された。その後、労働者側がその法に反発し、ラッダイト運動という激しい反発運動を起こした。
革命運動家フランシス・プレイスらの努力により団結禁止法は1824年に撤廃され、全国労働組合大連合の結成となった。 [Wiki スト]
2.2 1914年〜1998年のストライキ数の変動 [藤本01]
 
2.2.2 1918年〜1938年のストライキ数の変動 [藤本01]
 
2.2.3 ILOの設立 [ILO]
国際労働機関(International Labour Organization、略称ILO)は、世界の労働者の労働条件と生活水準の改善を目的とする国連最初の専門機関。[wiki ILO]
2.3第二次世界大戦時、又は後の主なストライキ
 
2.3.1 1939年〜1945年のストライキ数の変動 [藤本01]
 
2.3.2 1946年〜1956年のストライキ数の変動 [藤本01]
 
2.3.3 変動の理由 [藤本01]
2.4 現在の労働争議件数と損失日
日本にはストライキ数の統計はなく、各国ごとに統計基準も異なるので、正確な数値が出にくくなっている。各国の統計機関の統計をもとに判断する。
 
 
2.4.1 現在のストライキ数 [厚労]
 
労働争議件数   (件)
国 1990年 1995年 2000年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年
日本 284 209 118 74 47 51 50 56
アメリカ 44 31 39 19 14 17 22 23
フランス 1790 2066 1427 745 785 699 − −
イタリア 1094 545 966 616 710 745 654 549
労働争議参加人数                           (万人)
国 1990年 1995年 2000年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年
日本 8.43 3.75 1.53 0.7 0.44 0.7 0.41 0.58
アメリカ 18.49 19.15 39.37 9.91 4.59 25.98 9.97 7.35
フランス 18.5 43.5 21.07 11.86 6.67 62.5 − −
イタリア 163.4 44.5 68.5 544.2 256.1 70.9 96.1 13.14
 
労働損失日
国 1990年 1995年 2000年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年
日本 144.5 77.0 35.1 12.3 6.7 9.8 5.9 7.9
アメリカ 5926 5771 20419 660 4077 1017 1348 2721
フランス 528.0 783.8 581.4 248.1 223.8 193.4 − −
イタリア 5181 909 884 4861 1962 699 907 450
日本:厚生労働省(2007)「平成18年労働争議と統計調査」
その他:ILO(2007)Yearbook of Labor Statics 2006
 
2.4.2 各国の労働制度など
国によって、労働制度に関する定義が異なってくる。ここではその違いについて、紹介する。
 
2.4.2.1 労働時間制度
日本 アメリカ
根拠法 労働基準法(昭和22年制定) 公正労働基準法(1938年制定)
 
法定労働時間 1週40時間
1日8時間 1週40時間
 
罰則 法定労働時間を超えて労働させた場合6ヶ月以下の懲役または30万以下の罰金 故意に違反した場合(40時間を超えて労働させた場合において1.5倍の割増賃金を支払わなかった場合)一万ドル以下の罰金又は6か月以下の禁固又はその両方
適用関係 [適用除外]
・ 農林業、水産業
・ 管理監督または機密の事務を取り扱うもの
・ 監視又は継続的労働に従事することで使用者が行政官庁の許可をうけたもの(他の法律の適応)
・ 船員
・ 公務員 [適用除外]
・ 管理的被用者、運営的被用者、専門的被用者、外勤営業職(ホワイトカラーエグゼンプション)
・ 季節的な娯楽・レクリエーション事務所属などの被用者
・ 水産業の被用者
・ 一定の条件の下で雇用された農業労働者
・ 小規模地方新聞社の被用者
・ 小規模な独立公共電話会社の交換手
・ アメリカ船以外の船員
・ 臨時的子守又は個人の介護のために家事労働に雇われる被用者
・ 犯罪捜査間
・ コンピューター関連職
 
 
フランス EU指令
根拠法 労働法典第二巻(1972年制定)、労使交渉による労働時間短縮に関する法律(2000年制定)、時間短緩和法(2005年3月成立)、労働・雇用・購買力のための法律(2007年8月1日成立) 労働時間の設定に関する指令(1993年)
 
法定労働時間 1週35時間 7日につき、時間外労働時間を含め、平均して、48時間をこえないこと(算定期間は最長4か月)
 
罰則 法定労働時を超えた労働させた場合、第4種違警罪として罰金が適用される。(違警罪は、違法に雇用された労働者数と同じ数だけ罰金刑を生じさせる)
適用関係 [適用除外]
・ 土地の農作、畜産、林業等(農事法典)
・ 海洋漁業。商船等(会場労働法典)
・ 公立の病院・医療施設等(公衆衛生法典)
・ 国有企業(ガス、電気、国鉄等)
・ 商業代理人(判例、学説)
・ 家事使用人(判例、学説)
・ 住み込み不動産管理人
・ 守護(判例、学説)
・ 取締役
・ 上級幹部職員(幹部職員カードル)
・ 家内労働者
・ 坑内労働者 [適用除外]
・ 空路、鉄道、道路、海上、内水及びに湖沼おける輸送、漁業その他の会場労働及び訓練中の医師の業務[加盟国による適用除外が可能なもの(年次休暇のみ適用)]
・ 役員又は自ら方針を決定する権限を有する者
・ 家族労働者
・ 協会又は教団の宗教的儀式を司る労働者
 
[労働協約等による適用除外が可能なもの(法律等で代償休暇が与えることが条件)(週労働時間、年次休暇は適用)]
・ 保安。監視の業務など
[データ08]
 
2.4.2.2 年間労働時間
 
2.4.2.3 年間休日
 
3. ストライキと法律
 
3.1 労働法
労働法とは、労働関係を規律する法律である。このなかに、労働者はストライキ権が認められている。しかし、日本では公務員のストライキ権は認められていない。[藤本01]
 
3.2.1 ストライキの法律 [労働法]
 
3.2.2 公務員のストライキ
日本やアメリカの公務員は、国家公務委員法によってストライキが禁止されているが、海外では公務員のストが認められているケースも多い。イタリアやフランスなどのヨーロッパでは公務員にストライキが認められている[wiki スト]。
また、日本でもストライキ権をめぐり、1795年に公共企業体等労働組合協議会が8日間国鉄を止めるストライキを行ったが、現在でも公務員にはストライキは認められていない。
 
3.2 労働紛争裁判
現在、ストライキよりも、個人的な裁判で労働条件などの改正を求めるものが多いことがわかった。
 
3.2.1 個別労働紛争の増加
相談数や労働裁判数も増加傾向であることから、現在は団体交渉を行うことは少なくなってきている。 図3-2を見るとおり、現在個別労働紛争相談の件数は増加傾向にある。
「労働相談の件数は、著しく増加している。1989年には3万0797件であったのが、1998年には5万5232件にまで達している。実に10年間で79パーセントも増加しているのである。」[労裁提言]。
 
3.2.2 各国の労働紛争の処理
 
3.2.2.1 日本の紛争処理システム
手続き
一般の民事訴訟による。ただし、労働裁判手続きについては以下の通り。
【労働裁判の主な手続きの流れ】
(1) 申し立て
※趣旨及び理由を記述した書面による
(2) 相手方による答弁の書類提出
(3) 審理
※原則3回以内の期日で審理を終結。
(4) 調停の試み
※ 低調の成立による解決の見込みがある場合、審理の終結までに調停を行う。
※ 調停が成立すれば、終了。
(5) 労働審判
※ 審理の結果認められる当事者間の権利関係を及び労働審判手続きの経過を踏まえて、労働審判を行う。
※ 主文及び理由の主要を記載した審判書の作成又は総ての当事者が出頭する労働審判手続きを期日において主文及び理由の要旨を口頭で告知。
※ 受諾:労働審判の確定(裁判上の和解と同一の効力)
【労働裁判制度の手続きの特徴】
(1) 個別労働関係紛争についての手続き
(2) 裁判所での手続き
※ 不出頭に対する裁判(過料)あり。
※ 審判に法律上の和解と同一の効力
(3) 労働関係の専門的知識経験を有する者(労働裁判員)の参加する手続き
(4) 非訴事件としての手続き
(5) 迅速・簡単な手続き
※ 原則3回以内の期日で審理を終結。
※ 口頭主義、直接主義。
(6) 審判の効力と訴訟移行
※ 労働裁判に対し適法に異議の申立てがあったときは、労働裁判手続きの申立て時に訴えの提起があったものとみなす。
[データ08]
 
3.2.2.2 アメリカの紛争処理システム
一般の民事訴訟の手続きによる
 
3.2.2.3 フランスの紛争処理システム
【手続きの主な流れ】
(1) 申立(口頭の申立も可)
(2) 調停の前置(調停部)
※ 非公開。原則として当事者本人に出廷義務。成立の場合は調停調書を作成(執行力あり)。
※ 裁判官2名(労使格1名)で行う。
(3) 判決部への移送
※調停不調や被告が不出頭の場合。
※開廷期日までの間に裁判外の和解が成立することも多い。
(4) 事件が判決に熟していれば、直ちに判決
(5) 審理
※ 公開。対審。口頭での主張。
※ 裁判官4名(労使格2名)で行う。
(6) 判決
【手続き上の特徴】
・ 調停前置
・ 口頭による申出、主張が可能
・ 調停部による仮の措置
※ 使用者が調停に出頭しない場合などにおいて、調停部は(1)賃金台帳等の提出命令、(2)賃金等の仮払い命令(責務の存在に重大な被疑がない場合。額の上限あり。)、(3)証拠などの保全に必要な処分を、仮の措置として行うことが出来る。この処分に対する上訴は本案判決に関する上訴と同時にのみ行うことが出来る。
・ 当事者間の手続き契約
※審判所によっては、調停手続段階で、原告の証拠準備期間をさだめる手続契約を当事者間で締結させた上で審判手続きを行っている裁判所がある。(手続契約が守られない場合、審判所は当該事件を抹消できるとされる。)
・ 報告審判官(1名又は2名)
※事件についての判断に資するため、証拠の収集や当事者・関係者の事情聴取等を行い、担当部に報告する審判官。当該事件の担当部から任命される。
 
3.3 労働相談
各都道府県労働局や、労働組合や、労働基準監督署で、労働問題全般に相談、助言・指導、あっせんを行って個別労働関係紛争を解決することができる[東労]。
図 3-3から、現在は、個別労働紛争だけではなく労働相談の件数も増加傾向にある。
解雇などの問題が、今では労働組合ではなく個人の問題としてみなされている傾向にあることがわかる。
 
3.3.1.1 職場での嫌がらせ
職場での個人的な問題は、労働組合として解決できる問題ではない。
表3-6でみえるように職場でのいやがらせの増減率が50%を超える。図 3-4がその内訳である。
企業がどんなに素晴らしい労働条件、労使関係、労働組合を持とうと、上司や同僚との関係が良くなければ、労働者にとって良い環境とはいえないと筆者は考える。
 
3.4 これからのストライキ数の変動について
現在、ストライキ数は世界的に減少しつつある。そして、労働紛争は、現在の社会問題に左右されるものだと筆者は考える。
日本と欧米先進国との間では、労働そのものの考え方が違っている。
 
謝辞
 
参考文献
[藤本01] 藤本武, ストライキの歴史, 新日本出版, 1994-2-25
[イタ01] イタリア労働運動の生成(1892年~1911年), 淑徳大学社会学部研究叢書, 2001-04
[日本01] GHQ日本占領史 (31), 天川 晃, 日本図書センター, 1997-08
[データ00] 2000 データブック国際労働比較,独立行政法人労働政策研究・研修機構 1999-11
[データ01] 2001 データブック国際労働比較,独立行政法人労働政策研究・研修機構 2000-10-25
[データ02] 2002 データブック国際労働比較,独立行政法人労働政策研究・研修機構 2001-11
[データ03] 2003 データブック国際労働比較,独立行政法人労働政策研究・研修機構 2002-11
[データ04] 2004 データブック国際労働比較,独立行政法人労働政策研究・研修機構 2004-1
[データ05] 2005 データブック国際労働比較,独立行政法人労働政策研究・研修機構 2005-1
[データ06] 2006 データブック国際労働比較,独立行政法人労働政策研究・研修機構 2006-3
[データ 07] 2007データブック国際労働比較,独立行政法人労働政策研究・研修機構 2007-3
[データ08] 2008データブック国際労働比較,独立行政法人労働政策研究・研修機構 2008-03
 
参考webサイト
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