西村ゼミ

2009年度 卒業論文

著作権と企業の対応

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2009-12-18

Mk5163 有我典泰

 

 

ゼミ論目次

2008-10-30

有我典泰

著作権と企業の対応

目次

はじめに

 

1.     著作権

1.1 知的財産権

1.2 著作権とは

1.3 著作物の条件

1.4 著作権の発生するもの

1.5 著作権の発生しないもの・制限

1.6 著作権の保護期間

1.7 著作者人格権と著作者隣接権

 

2.     著作物に対する企業の対応

2.1 音楽

2.2 映像作品

2.3 出版物

2.4 コンピューターソフトウェア

 

3.     著作物への新しい試み

3.1 インターネットオークション

3.2 動画投稿サイト

3.3 オープンソース

 

4.     これからの考察

 

謝辞

参考文献

 

 

 

 

 

はじめに

 この論文では、現在の著作権法とそれをとりまく各企業・団体が著作物に対してどのような対応をしているのか調べた。

 1節では著作権そのものについて

 2節では主な各業界・企業、団体の著作物への対応について

 3節では著作物への新しい試みとしてどんなものがあるかを述べる。

 そして4節では以上をふまえての筆者の考察を述べる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1.    著作権

 

1.1 知的財産権

 知的財産権制度とは、知的創造活動によって生み出されたものを、創作した人の財産として保護するための制度である [特許庁]

知的財産権には、創作意欲を促進するための知的創造物についての権利と信用を維持するための営業標識についての権利がある。

 

 知的創造物についての権利は以下の種類がある。

 

      特許権 (特許法)

発明を保護するための権利である。

出願から20年保護される。

特許の対象になるためには以下の要件を満たさなければならない [特許権とは]

(1)  発明であること

(2)  新規性があること

(3)  進歩性があること

(4)  他人より先に出願していること

 

      実用新案権 (実用新案法)

物品の形状等の考案を保護する権利である。

出願から10年保護される。

 

      意匠権 (意匠法)

物品のデザインを保護する権利である。

登録から20年保護される。

 

      著作権 (著作権法)

1.2以降参照

 

      回路配置利用権 (半導体集積回路の回路配置に関する法律)

半導体集積回路の回路配置の利用を保護する権利である。

登録から10年保護される。

 

      育成者権 (種苗法)

 植物の新品種を保護する権利。

 登録から25年保護される (樹木からは30)

 

      営業秘密 (不正競争防止法)

 ノウハウや顧客リストの盗用など不正競争行為を規制するための権利である。

 

 

 営業標識についての権利として以下の権利が挙げられる。

      商標権 (商標法)

 商品・サービスに使用するマークを保護する権利である。

 登録から10年保護される (更新あり)

 

      商号 (会社法、商法)

 商号 (商人が営業を行うにおいて自己を表示するために使用する名称のこと) を保護する権利である。

 

      商品等表示・商品形態 (不正競争防止法)

 混同惹起行為

 著名表示冒用行為

 形態模倣行為

 ドメイン名の不正所得等

 誤認惹起行為

以上の不正競争行為を規制する権利である。

 

 このうち特許権、実用新案権、意匠権及び商標権を産業財産権と呼ぶ。

[特許庁]知的財産権とは」から引用

 

 特許権などの権利は出願し登録することで発生する権利だが、著作権は出願の必要がなく創作時から権利が発生する。

 

 [特許庁]知的財産権とはから引用

 

1.2 著作権とは

 著作者に対して、著作権の対象である著作物を排他的に利用する権利を認めるものである [Wiki著作権]

 

1.3 著作物の条件

 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう(著作権法第2)

[橋本05]

 

1.4 著作権の発生するもの

 著作権の発生するもの(著作物)として以下のものが挙げられる

     言語(論文、小説、脚本、詩歌、俳句など)

     音楽(楽曲及び楽曲を伴う歌詞)

     舞踏・無言劇(ダンス、パントマイムなど)

     美術(絵画、版画、彫刻、まんがなど)

     地図・図形(地図、学術的な図面、模型など)

     映像・写真(映画、ビデオソフト、写真など)

     建築(芸術的な建造物)

     プログラム(コンピュータ・プログラム)

 

また、特殊な著作物として以下のものが挙げられる。

     二次的著作物

 著作物を翻訳、編曲、変形、翻案され新たに創作された著作物のこと。

 

     編集著作物

編集物で、その素材の選択または配列によって創作性を有するもののこと。

 

     データベースの著作物

 情報の選択、または体系的な構成によって創作性を有するもの。

編集著作物との違いはコンピューターにより検索できるか否かである。

[橋本05] [Web著作権講義]

1.5 著作権の発生しないもの・制限

著作権法では、一定の場合では著作権を制限して著作物を自由に利用することができるようになっている。この項目では、その著作物を自由に利用することができる場合を挙げていく。

 

1.5.1 著作権の発生しないもの

 著作物が自由に使える場合は以下である。

     私的使用のための複製

     図書館などでの複製

     引用

     教科書への掲載

     学校教育番組の放送など

     学校における複製など

     試験問題としての複製

     点字による複製

     知覚障害者のための自動公衆送信

     非営利目的の利用など

     時事問題の論説の転載など

     政治上の演説などの利用

     時事事件の報道のための利用

     裁判手続きにおける複製

     放送などのための一時的固定

     美術の著作物などの所有者による展示

     公開の美術の著作物などの利用

     展覧会の小冊子などへの利用

     プログラム所有者による複製など

     保守、修理のための一時的複製

[CRIC]から引用

また著作権そのものがないものとして、

     著作者が死後50年経過したもの

     憲法、その他の法令

     国又は地方公共団体の告示通達、訓令、その他これに類するもの

     裁判所の判決、決定、命令、及び審判並びに行政庁の裁決等

     国又は地方公共団体の作成した法例等の翻訳物、編集物

     自然そのものや、自然現象、その他おおよそ著作物とは言えないもの

[弁護士アシスト]から引用

が挙げられる。

 

1.5.2 引用と私的使用

引用

 「公表された著作物は、引用して利用することができる」 (著作権法第32)

引用するためには以下の五原則を守らなければならない。

     公表された著作物であること

     必然性がある

     引用の範囲がはっきりしている

     出典がはっきりしている

     勝手な変更は加えない

 

 私的使用

 「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内に使用すること」  (著作権法第30)

  つまり家庭内やごく友人間なら可能である。また、注意点として「私的」の枠の中に入る人物でも金銭のやりとりはあってはいけないことになっている [橋本05]

 

1.6 著作権の保護期間

 日本での著作権の始期は、著作物を創作したときに発生する (著作権法511) 。登録を権利の発生要件とする特許権や商標権などとは異なり、著作権の発生のためには、いかなる方式(登録手続き等)も要しない(著作権法172項)。

 著作権は原則として著作者が死亡してから50年経過するまでの間、存続する(著作権法512項)

wikipedia 著作権の保護期間より引用

 

1.7    著作者人格権と著作隣接権

著作者の権利は二つに分けることができる。

一つ目として著作者人格権が挙げられる。著作者人格権は、著作者の人格的権利であり、主に次の権利が挙げられる。

     公表権

著作物を公表するかしないか、公表するとすればどのように公表するかを決めることができる権利。

     氏名表示権

著作物に氏名を表示するかしないか、表示する場合に本名を表示するかペンネームを表示するかを決めることができる権利。

     同一性保持権

著作物の改変、変更、切除などを認めない権利

 

この権利は他人には譲渡できない。

 

 二つ目に財産権が挙げられる。これは、著作者が著作物を財産として利用する権利である。

     複製権

     上演権、演奏権

     上映権

     公衆送信権等

     口述権

     展示権

     頒布権

     譲渡権

     貸与権

     翻訳権、翻案権等

 

 

 また、著作権に隣接し、著作権に準じた権利として著作隣接権がある。著作隣接権とは、著作物を伝達する場合に、実演家、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者に与えられる権利で、もとの著作物の著作権に抵触しない範囲で伝達者に認められる権利である。この権利は主に以下に分けることができる。

     実演家に認められるもの

     レコード製作者に認められるもの

     放送事業者、優先放送事業者に認められるもの

[作花99][ Wiki著作権] [JASRAC]

2.    著作物に対する企業の対応

 

2.1 音楽と著作権

 日本のほとんどの作詞家・作曲家および音楽出版社と著作権信託契約を締結して著作権の移転 (信託) を受け、著作物の利用許諾を行い、著作物使用料を徴収している [著作権辞典] 。社団法人日本音楽著作権協会(以下JASRAC) は、NHKや民放各局と包括的利用許諾契約を結んでいる [Wiki日音] 。この節では、現在の音楽著作物の管理を見るうえで多くの企業が権利の信託をしているJASRACを中心に見ていく。

 

2.1.1 日本音楽著作権協会

 著作者から信託を受けて、

     書籍、インターネットの歌詞掲載

     音楽配信

     放送などへの音楽の利用

を著作権者に代わって権利の処理をする企業である。

 

JASRAC 会員・信託者数の推移

 

会員・信託者数の推移

 

会員・信託者数 一覧表

200841日現在)

 

信託契約数

作詞者

4,178

作曲者

3,125

作詞・作曲者

4,731

音楽出版者

2,427

その他

41

合計

14,502

 

※ 上記の表には、著作権の承継者を含みます。

[JASRAC]会員・信託者数の推移から引用

 1999年から、信託者数はほぼ毎年増えている。

 JASRACは、パソコン通信の発達やデスクトップミュージックの普及により、音楽の演奏データが配布可能になったことで、一時期は実験という名目でパソコン通信業者に対して演奏データの送信と蓄積を黙認していた。しかし、個人が非商用目的を理由に無断で演奏データや音声ファイルをウェブサイトに掲載する脱法行為が日常化する。これらが権利者側からも非難されることになり、より著作物の保護が求められるようになった。こうした動きが、20008月にはインタラクティブ配信という形として認可された。

 インタラクティブ配信とは、ホームページでの配信や着信メロディ配信、インターネット配信等のことであり、以下の種類に分けられる。

 

     商用配信 (企業、個人事業主など)

ダウンロード形式とストリーミング形式に分けられる。ともに、利用曲目の報告と使用料が必要である。

 

     非商用配信 (グループ、団体、学校、個人)

趣味のホームページでMIDIデータを流す場合や、ブログなどで好きなアーティストの歌詞を掲載する場合など。利用する曲がJASRAC管轄の場合は利用許諾と使用料が必要である。

 

 こうしたJASRACの活動により、音楽配信時の権利がより明確になり、インターネット上での音楽が利用しやすくなった [JASRAC] [Wiki 日音]

その一方で、ビートルズ・ハーモニカ演奏逮捕事件のようなことが起きた。

 

2.2 映像作品と著作権

この節では、映画とアニメーション作品を例に現在の映像作品の著作物の現状と企業の対応を見ていく。

特に映画の著作物は、創作過程および流通過程に他の著作物にない特徴をもつことから、著作権法でも特別に性質を規定する特別な条項などが存在している [Wiki著作権]

 

2.2.1 映画

 海賊版の登場により、映画会社と映画館への被害が深刻化している。そのため法律の厳正化が映画会社および映画館から要請されることになる。映画館での盗撮なども今までの著作権法では個人の趣味といえば逃れられていた (1.5.2参照) 。このため映画の盗撮の防止に関する法律 (通称映画盗撮防止法) 2007830日に施行された。

 日本国際映画著作権協会 (以下JIMCA) は、モーション・ピクチャー・アソシエーション (アメリカ映画協会の海外を管轄する団体、以下MPA) の全面的支援を得て、映画の著作物に関わる著作権侵害行為の防止活動などを行っている。また、関連官公庁や団体、企業などと連携を図り、不正商品の徹底排除と撲滅に向けて活動している団体である。

 MPAにはソニー・ピクチャーズやワーナー・ブラザーズ、ウォルト・ディズニー・スタジオなどアメリカの大手映画企業が加盟している。アメリカでは著作権侵害行為による被害が全世界で年間10億ドル以上とされていることから、よりJIMCAなどによる団体と連携を図り、著作権保護活動が活発になると考えられる [JIMCA]

 

2.2.2 アニメーション

 アニメーションでは、作品とその作品のキャラクターにも著作権があるため、著作権の管理が複雑である。アメリカのウォルト・ディズニー・カンパニー (以下ディズニー社) は自社の著作物の管理の徹底化でも有名な企業である。

アメリカの著作権保護期間が、ディズニー社のキャラクターであるミッキーマウスの保護期間が切れそうになるたびに延長されており、アメリカの著作権延長法自体が「ミッキーマウス保護法」などと揶揄されている。

また、日本では小学校の卒業制作としてプールの底にミッキーマウスの絵を描いたところ、ディズニー社に著作権侵害だとされ、その絵が塗り潰されるという事件が1987年滋賀県大津市で起きた。

 そういった風評などもあり、ディズニー社は著作権保護には特に厳しい企業だとされている。

 ファンによる二次創作なども、こういったディズニー社の厳しい態度を考慮し、執筆、印刷などは避けられている。ディズニー社自身が、原作の存在する物語を元にしたアニメーションも多く、一部の原作ファンからはこういった姿勢を非難されている (二次創作については2.3.2にて詳しく記述)

[Wikiディズニー]

2.3 出版物と著作権

 出版業界の主な著作物への対応として、出版物貸与権センターと二次創作物への対応として有名な事件があった小学館の二つの団体を中心に見ていく。

 

2.3.1 出版物貸与権管理センター [出版物貸与権センター]

 1990年代後半から大型古書店や漫画喫茶が著作権侵害していると攻撃する傾向が強まった。そのため大手出版社五社 (集英社、講談社、小学館、秋田書店、白泉社) のバックアップを受け、出版物の貸与権に基づく報酬の徴収と分配を実地するために設立された (貸与権については1.7参照)

 漫画喫茶に対しては入場料を徴収して店内で漫画を閲覧させる行為を「貸与」と解釈し、禁止するべきという意見が業界内から挙がった。しかし文化庁では、利用者が店外へ備え付けの本を持ち出さない限り「貸与」には当たらないとの見解を示した [Wiki  出版物貸与権]

 また、古書店などで実験的に開始されていた貸本業 (コミックレンタル) についても問題提起することになった。

 代表者が漫画家だということもあり、現在管理を行っているのは日本国内で出版されている漫画の単行本が中心であり、小説やその他の一般書籍は将来的に管理対象とする予定はあるが現時点では対象外である [出版物貸与権センター]

 

2.3.2 小学館

 小学館は、自社の著作物であるドラえもんの二次創作物を著作権侵害だとした。この事件により、オマージュ (尊敬や敬意) やパロディ(その作品の揶揄や風刺) やインスパイア (感化や啓発) への問題提起へとなった。

 小学館の人気漫画であるドラえもんの最終回を描いたもので、これは13千部売れ、二次創作物としては異例の大ヒットとなった。こういった事態の拡大により、小学館は無視できない状態となる。小学館は、著作権を管理する藤子・F・不二雄プロとともに著作権侵害にあたるとして、20066月に文書でこの二次創作した作者に、販売中止と回収、ネット公表の中止を要請することになる。結果、この通告を受けこの二次創作をした作者は小学館、藤子プロ側に謝罪をした。また、この著作権侵害で得た利益の返還と在庫の処分、二度とやらないと誓約し和解することとなった[Wikiドラえもん最終話]

 二次創作物は、ファンの好意から作成されるものが多く、企業からは「好意的黙認」とされるケースが多かった。また、そういった二次創作の界隈で有名になれば、その作品自体の宣伝になるといった点から、一概には否定できないものとなっている [富樫00]

 

2.4 コンピューターソフトウェアと著作権

 ファイル交換・共有ソフトや、違法コピーソフト (海賊版) などにより、コンピューターファイルソフトも重大な打撃を受けている。この節では、ソニー・コンピューターエンタテイメントやマイクロソフトなど多くの大手企業が役員となっている社団法人コンピューターソフトウェア著作権協会 (以下ACCS) について見ていく。

 

2.4.1  コンピューターソフトウェア著作権協会

 デジタル著作物の著作権者の権利の保護、著作権の普及活動及び情報モラルの普及を目的としている公益法人である。

 「Winny」などのファイル共有ソフトを用いた無許諾送信による著作権侵害行為が横行している。このことにより、ファイル共有ソフトを悪用した著作権侵害対策協議会を2008512日に設立することになる。この協議会には、JIMCA (2.2.1参照) JASRAC (2.1.1参照) なども参加している

ファイル共有とは、自分のコンピューターにあるファイルを、ネットワーク経由で他人がアクセスできる状態におき、複数人でファイルを「共有」することである。また、そのためのソフトウェアを指す [IT用語辞典 ファイル共有より] 。その特性上、著作権侵害をはじめとする違法な情報流通の温床となっているとして非難の対象ともなっている [IT用語辞典 ファイル共有ソフトより]

 ACCSJIMCA 、社団法人日本レコード協会が実施した「ファイル交換ソフト利用実態調査」によればファイル共有ソフトの利用者は、2006年の調査結果では3.5%だったのが、20079月には9.6%と、利用者の急増が明らかになっている [ACCS]

 しかし、こういったファイル共有ソフトは著作権侵害の危険がある一方で、オープンソースの配布には便利だという一面もある (オープンソースについては3.3にて記述)

 

3.    著作物への新しい試み

 

3.1 インターネットオークション

インターネットの発達によって、消費者同士で直接、商品の取引を行うようなインターネットオークションが発達した。

市販の書籍やソフトウェアは、出版社やそのソフトウェア会社が原作者 (著作権者) から許諾を取り、販売ルートにのせた正規のコピー品であるため、不正コピー (海賊版) と違い転売ができる [ACCS  QA624] ため、どの消費者でも簡単に参加できる。

 

3.2 動画投稿サイト

 誰でも、動画を無料かつ無制限で視聴できる動画投稿サイトが人気を呼んでいる (2008年現在)。誰でも動画を投稿できてしまうので、違法にアップロードされる動画が多数である。

 中でもYoutubeは、ウェブサイトの利用者数を最速で1000万人を突破しており、その人気と勢いが分かる。

[富樫00]

    主要サイトの1000万人到達までの所要月数 (家庭のPCからのアクセス)

z2

[ネットレイティングス] Youtube、‘史上最速’で利用者1000万人突破より引用

 

Youtubeは、アメリカのカリフォルニア州で動画共有サービスを行っている企業である。この人気と誰でも気軽に動画を見られることから、コンテンツ業界から注目をされている。

20064月にアメリカの映画制作会社・The Weinstein CompanyDimension Filmsが提携し、映画の予告編がYoutubeで配信される。200610月には、アメリカ最大のテレビ・ラジオ・ネットワークを有する放送局CBSは、Youtubeと契約しCMや一部の番組をYoutube上で配信している。任天堂やナイキなどもCMYoutube上で配信するなど、各業界・各企業が動画共有サービスの新たな活用法を模索している [Wiki Youtube]

 

3.3 オープンソース

 この節では、オープンソースによる著作物への対応の長所と短所を述べる。

ソフトウェアの設計図にあたるソースコードを、インターネットを通じて無償で公開し、誰でもそのソフトウェアの改良、再頒布が行えるようにすることをオープンソースという。ソースコードがあれば、そのソフトウェアの類似品を作成したり、そのソフトウェアで利用されている技術を転用することが容易に可能なため、企業などでは自社の開発したソフトウェアのソースコードは極秘とし、他社に供与するときにはライセンス料を取ることが多い [IT用語辞典 オープンソース]

 

3.3.1 オープンソース

ソフトウェアの著作者の権利を守りながらソースコードを公開することを可能にするライセンスを指し示す概念をオープンソースという [Wiki オープンソース]

オープンソフトウェアを促進することを目的とした組織であるOpen Source Initiative (OSI) による、オープンソースライセンスの要件として、以下のような基準を挙げている。

     自由な再頒布ができること

     ソースコードを入手できること

     派生物が存在でき、派生物に同じライセンスを適用できること

     差分情報の配布を認める場合には、同一性の保持を要求してもかまわない

     個人やグループを差別しないこと

     適用領域に基づいた差別をしないこと

     再頒布において追加ライセンスを必要としないこと

     特定製品に依存しないこと

     同じ媒体で配布される他のソフトウェアを制限しないこと

     技術的な中立を守っていること

[Wiki オープンソース]

 梅田望夫著「ウェブ進化論」[梅田06] では、ソフトウェア世界を超えたところでもオープンソース的な営みが起こっているとし、これを「オープンソース現象」と呼んでいる。

 

3.3.2 クリエイティブコモンズ

 オープンソース (3.3.1参照)ではソフトウェア分野で確立されているが、デジタルコンテンツやデジタルクリエイティブ作品についてはクリエイティブコモンズという考え方がある。

法律や技術に関する専門的な知識がなくても、以下の簡単な4つのアイコンの組み合わせを選択するだけで、誰でも自分の生み出した作品を、自分の好きな条件で、インターネットを通じて世界に発信することができる。

 

by.gif

表示

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非営利

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改変禁止

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継承

 

 

 

 

 

 

[CCJP]クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの基本より引用

 

 このライセンスは、無料で自由に使うことができる。

情報を共有しようとすると、著作権法などが障害になる場合があるが、このライセンスの基本的なねらいは、そのような法的問題を回避することにある[Wiki クリエイティブコモンズ]

 

4.    これからの考察

インターネット発達などで、誰もが著作物を生み出し、他人の著作物に関わることが増えた。筆者は、インターネットによるそういった発達をプラスと見たうえで、ここではユーザーや企業・団体がこれからどのような態度と対応で著作物に関わっていけばいいかを考察する。

2節では主に、企業や団体が著作物を守るために厳しい態度をとらざるを得ない現状を見た。3節ではそういった現状のなかで、より積極的に著作物と関わろうとする様々な試みを見た

 

 

参考文献

[富樫00] 富樫康明,インターネット時代の著作権,日本地域社会研究所,2000.

[作花99] 作花文雄,詳解 著作権法,ぎょうせい,1999 .

[橋本05] 橋本光一郎・橋本美智子,要約 著作権法,学陽書房,2005.  

[尾崎06] 尾崎茂,先生のための著作権入門,学事出版,2006 .

[梅田06] 梅田望夫,ウェブ進化論,ちくま新書,2006.

[著作権辞典] 社団法人著作権情報センター,新版著作権辞典,株式会社出版ニュース社,1999.

 

参考webサイト

 

[JIMCA] 日本国際映画著作権協会,アクセス日2008-09-12.

http://www.jimca.co.jp/  

[JASRAC]  JASRAC,アクセス日2008-09-12.

http://www.jasrac.or.jp/ 

[特許権] 特許権とは,アクセス日2008-09-12.

http://www.newtec.or.jp/patent/sub1-3.html

[ACCS] ACCS,アクセス日2008-10-29.

http://www2.accsjp.or.jp/

[出版物貸与権センター] 出版物貸与権管理センター,アクセス日2008-10-29.

http://www.taiyoken.jp/index.html

[IT用語辞典] IT用語辞典 e-Words,アクセス日2008-12-04.

  http://e-words.jp/

[特許庁] 経済産業省特許庁,アクセス日 2008-12-04.

  http://www.jpo.go.jp/indexj.htm

[Web著作権講義] Webで著作権法講義,アクセス日 2008-12-05.

 http://copyright.watson.jp/index.html

[CRIC] 社団法人著作権情報センター,アクセス日 2008-12-05.

 http://www.cric.or.jp/

[弁護士アシスト] 弁護士のアシスト 著作権,アクセス日 2008-120-5.

http://www.asahi-net.or.jp/~VR5J-MKN/111.htm

[CCJP] クリエイティブ・コモンズ・ジャパン,アクセス日 2008-120-8.

http://www.creativecommons.jp/

[ネットレイティングス] ネットレイティングス株式会社,アクセス日 2008-120-9.

http://www.netratings.co.jp/

 

Wikipedia

[Wiki著作権] 著作権,アクセス日2008-09-12.

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%91%97%E4%BD%9C%E6%A8%A9

[Wiki日音] 日本音楽著作権協会,アクセス日2008-09-12. 

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E9%9F%B3%E6%A5%BD%E8%91%97%E4%BD%9C%E6%A8%A9%E5%8D%94%E4%BC%9A

[Wiki Youtube] Youtube,アクセス日2008-12-09.

http://ja.wikipedia.org/wiki/YouTube#.E8.A9.B1.E9.A1.8C.E6.80.A7

[Wikiニコニコ] ニコニコ動画,アクセス日2008-09-12.

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%8B%E3%82%B3%E5%8B%95%E7%94%BB

[Wikiドラえもん最終話] ドラえもん最終話同人誌問題,アクセス日2008-09-12. 

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%A9%E3%81%88%E3%82%82%E3%82%93%E6%9C%80%E7%B5%82%E8%A9%B1%E5%90%8C%E4%BA%BA%E8%AA%8C%E5%95%8F%E9%A1%8C

[Wikiディズニー] ウォルト・ディズニー・カンパニー,アクセス日2008-09-12. 

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%BA%E3%83%8B%E3%83%BC

[Wiki オープンソース] オープンソース,アクセス日 2008-12-04.

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%B9

[Wiki  出版物貸与権] 出版物貸与権管理センター,アクセス日 2008-12-08.

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%87%BA%E7%89%88%E7%89%A9%E8%B2%B8%E4%B8%8E%E6%A8%A9%E7%AE%A1%E7%90%86%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC

[Wiki クリエイティブコモンズ] クリエイティブコモンズ,アクセス日 2008-12-08.

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%96%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%82%BA