一夜の城は、高遠城跡とほど近い伊那市富県地籍にあります。この一夜の城は、半町四方の方形単郭で土塁に囲まれています。虎口のある東側は土塁が良好に残っています。織田信長の伝記的記録である『信長公記』には、天正10年(1582)3月、織田軍の高遠城攻略時に織田信忠が「かいぬま原」に陣取ったとの記載があり、この陣が「一夜の城」を示していると理解されています。「一夜の城」という名称も、この『信長公記』に記された歴史的出来事を地元で伝承してきたことを如実に物語るものとして注目されます。
織豊期の陣城は、この一夜の城以外に存在が知られていません。いわば県内に唯一残された陣城としてその歴史的価値は高く、東国における城郭研究上極めて重要な遺跡と言えます。
一夜の城に関する資料3種類:
(1)
長野県考古学会考古学講演会のチラシ.docx
(2) 一夜の城の現状写真:
画像1,
画像2
(3) 一夜の城
空中写真.png
長野県考古学会 河西克造