倭城研究シンポジウム II | ||||||||
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シンポジウム当日に,九州大学記録資料館架蔵「倭城址図」14 点の実物を特別展示することになりました.
「倭城研究シンポジウムII」開催記念企画
九州大学記録資料館架蔵「倭城址図」展示会
(併設展示:「堀口建弐 倭城跡実測図展」)
展示日時: 12月10日(土)・11日(日) 8:30〜16:00
展示会場: 九州大学箱崎キャンパス旧工学部本館3階 九州大学総合研究博物館常設展示室
展示図: 倭城配置図,林浪浦倭城,機張倭城,東菜倭城,釜山倭城,亀浦倭城,狐浦里倭城,梁山倭城,金海竹嶋倭城,見乃梁倭城,固城倭城,泗川倭城,南海倭城,順天倭城
主催: 倭城研究シンポジウム実行委員会・城館史料学会
共催: 九州大学総合研究博物館
九州大学記録資料館架蔵「倭城址図」は計 14 点(80×56cm が 5 枚, 56×40cm が 9 枚)あります.全てを一挙に公開するのは初めてでしょうし,こういう機会は今後も滅多にないでしょう.
多くの皆様に御覧いただければ幸いです.
8:30〜16:00 ポスターセッション・九州大学記録資料館架蔵「倭城址図」展示会(※自由閲覧)
9:00〜 | 受付 | |
10:00〜10:25 | 実行委員会代表挨拶 開会にあたって 趣旨説明 事務連絡 | 村田修三(大阪大学) 木島孝之(九州大学) |
10:25〜10:55 | 前回総括 「1999年九州大学・2005年大阪市立中央公会堂シンポの総括」 | 中西裕樹(高槻市立しろあと歴史館) |
11:00〜11:30 | 研究報告(1) 「子城台倭城の発掘調査」 | 権 純康 (韓国:ウリ文化財研究院) |
11:35〜12:05 | 研究報告(2) 「畿内近国の倭城並行期の城郭」 | 永惠裕和(京都大学大学院) 中川貴皓(三重大学大学院) |
12:05〜13:35 | 昼休憩 | |
13:35〜14:05 | 研究報告(3) 「東国の倭城並行期の城郭」 | 多田暢久(姫路市教育委員会) |
14:10〜15:05 | 研究報告(4) 「倭城の瓦研究最新事情 ― 泗川倭城の調査事例を通して」 | 山崎敏明(三田市教育委員会) |
研究報告(5) 「秀吉軍の日本搬入の朝鮮瓦について ― 東莱倭城との関係から」 | 黒田慶一(大阪市文化財協会) | |
研究報告(6) 「倭城石垣の矢穴技法について」 | 堀口建弐(高槻市教育委員会) | |
15:15〜15:45 | 研究報告(7) 「壬辰倭乱以後,朝鮮の戦術変化と軍事制度」 | 盧 永九 (韓国:国防大学校) |
15:50〜16:40 | 基調報告I 「文禄・慶長期前後の国内城郭の様相」 | 高田 徹 (城館史料学会) |
16:50〜17:40 | 基調報告II 「倭城と国内城郭 ― 縄張りにみる連続性と非連続性」 | 岡寺 良 (九州歴史資料館) |
18:30〜 懇親会(福岡リーセントホテル)
8:30〜16:00 ポスターセッション・九州大学記録資料館架蔵「倭城址図」展示会(※自由閲覧)
8:50〜 9:00 | シンポジウム事務連絡 | |
9:00〜 9:50 | 基調報告III 「豊臣期京都の城館と総構」 | 福島克彦(大山崎町歴史資料館) |
10:00〜10:50 | 基調報告IV 「豊臣政権下の国内城郭と倭城 ― 城郭遺構からみた朝鮮出兵」 | 中西義昌(竹田市役所) |
11:00〜11:50 | 基調報告V 「朝鮮王朝の日本城郭認識」 | 太田秀春(鹿児島国際大学) |
11:50〜13:30 | 昼休憩 | |
13:30〜16:30 | シンポジウム討論 | 司会・問題提起 木島孝之(九州大学) |
16:30 | 閉会挨拶 |
謹啓 盛夏の候,皆様におかれましては,ますます御健勝のことと御慶び申上げます.
去る平成11年(1999年)5月29日・30日に九州大学箱崎キャンパスを会場に「倭城研究シンポジウム 倭城 ― 城郭遺跡が語る朝鮮出兵の実像」を開催して以来,早や12年が経ちました.その節は国内外から300名以上の御参加をいただき,多くの研究・調査成果が報告されるとともに活発な議論が交わされ,たいへん有意義なシンポジウムとすることができました.ご参加・ご協力をいただいた方々には改めて御礼を申上げます.
このシンポジウムの開催以降,日韓の間の旧植民地支配に対する歴史認識の問題や軍事一般に対する嫌悪感情から忌避され無視され続けてきた倭城に対する認識も大きく変化し,倭城研究への関心が高まったように思います.そして今日では,国内・韓国での研究・調査成果の蓄積もかなり進んできております.また併せて,新たに議論すべき重要な研究課題もみえてきております.
そこで,このたび平成23年12月10(土)・11日(日)に,前回と同じ九州大学箱崎キャンパス(旧工学部本館1階大講義室)を会場にしまして,続編となるシンポジウム,「倭城研究シンポジウムII 倭城 ― 本邦・朝鮮国にとって倭城とは」を開催する運びとなりました.前回と同様,興味深い研究・調査報告と討論が行われるものと考えております.
また今回,「倭城研究シンポジウムII」の開催を記念して,シンポジウム開催の二日間(12月10日・11日)に限り,九州大学総合研究博物館常設展示室(シンポジウム会場と同建物の3階)において,九州大学記録資料館架蔵「倭城址図」(通称,「九大倭城図」)の特別展示会を同時開催いたします.計14枚の「倭城址図」が一同に展示公開されるのは,またとない機会ですので,シンポジウムと併せて是非御覧ください.
以上,年末のたいへん慌しい時期においての開催ですが,皆様,万障お繰り合わせのうえ,ご参加くださいますよう御案内申し上げます.
敬白
倭城研究シンポジウム実行委員会一同
「倭城」とは,朝鮮出兵で豊臣軍が朝鮮半島に構築した一連の城郭群をいいます.その本格的な研究は1979年の倭城址研究会『倭城 I』の刊行を嚆矢に,1999年,2005年に九州大学,大阪市立中央公会堂で開かれたシンポジウムによって飛躍的に進展しました.これらで得られた知見は多岐にわたりますが,その中でも特に,倭城の縄張りが本邦城郭の標準遺跡である一方で国内城郭とは相違点を持つこと,そこに朝鮮出兵の内実を紐解く鍵があるという視点を確認したことは,大きな成果でした.
そして,新たな課題として,倭城と国内城郭の比較研究に当って,倭城構築以前と以後の国内城郭の差異を確認する必要が出てきました.なぜなら,織豊系城郭を特徴づける個々の技術(高石垣・枡形虎口・横矢掛り・瓦葺礎石建物など)自体は倭城以前に出揃いますが,朝鮮出兵・関ヶ原戦の後の築城ラッシュでは城の規模や縄張りのシステム(プランの定型化や,本城と支城の在り方など)に大きな変化があったように思われます.例えば大名居城の場合,朝鮮出兵段階では国持大名の城であってもその大半が母城クラスの倭城の規模・仕様に及ばなかったのに対し,関ヶ原戦後は国持をはじめ中小大名の城でも倭城を凌ぐものが続出するように思われます.今日,朝鮮出兵については,侵略戦争という現行の歴史認識と価値観に予定調和させるかのように,秀吉の国際認識の欠如や伝令に要する時差が生んだ作戦計画の齟齬などを挙げて出兵の失敗を当然の帰結と論断し,豊臣政権の崩壊と撤収後の国内の逼塞感に繋げる叙述が殆どです.しかし,城郭の面から大名家当主をはじめとする上級領主の様子をみると,朝鮮出兵で莫大な人的・経済的消費をした後も決して逼塞することなく,むしろ倭城構築をバネにするかのように,領国からの更に膨大な物的・人的収奪と築城エネルギーの集約(領主層の結集と統制)を要するはずの近世城郭の築城ラッシュを展開しています.この現象に鑑みれば,倭城構築という従前にない過酷で膨大な普請と織豊系城郭技術の粋を擁した一大築城事業を通じて上級領主層が得たものは,“物的・人的収奪に対する領国の耐力は統一政権の統制による内戦の抑制と激減で予想外に増強されており,過酷な搾取を続けてもさほど簡単には破綻しない”という認識と,“領国支配の強化と安定には豊臣政権が示した領主結集体としての統一政権国家という枠組みの継承が(たとえ盟主が豊臣氏から徳川氏に移ろうとも)有効である”という認識に加えて,この認識に沿った新たな領主像を目指すことへの手応えだったのではないでしょうか.つまり,倭城構築の苦行は近世大名領国制創出の梃子を成したという観点から評価できないでしょうか.
また,朝鮮・明国軍将兵が倭城の異様な姿とその頑強な戦闘力や,倭城を基点に急速に進む豊臣軍の実効支配に驚愕していた様子もわかってきました.豊臣軍将兵と同様,異民族戦争での異文化との遭遇に強烈な戸惑いがあったようです.そして,倭城攻めでの苦戦の経験は朝鮮国の城制を揺さぶり,石垣の形態に影響を与えます.一方で,縄張り(プラン)の形態には特に大きな影響はうかがえません.そこには朝鮮国の如何なる事情があったのか興味が持たれます.このように,当時の国際認識の問題についても単に秀吉のみが欠如をしていたかのような従来の偏向的な捉え方ではなく,双方の実態を突き合わせた再考が必要のように思われます.
以上の事柄を論点に,倭城は本邦そして朝鮮国にとって何だったのか,その位置づけについて皆様と忌憚ない議論を交わせることを期待しております.就いては,未曾有の国難の最中,誠に恐縮ではございますが,皆様のご参加・ご協力を御願い申し上げます.
(文責)倭城研究シンポジウム実行委員会・城館史料学会事務局 木島孝之
◆ 研究報告・基調報告・討論会 ― 九州大学箱崎キャンパス旧工学部本館本館1階 大講義室
(福岡市東区箱崎 6-10-1, 地図)
交通アクセス.pdf,
シンポジウム会場案内図.pdf
※ 車でご来場の方は,九州大学箱崎キャンパスの「小松門」から入構ください.入構の際,「小松門」守衛所で「倭城研究シンポジウム」に来場した旨をお伝え下さい.入構料金が無料となります.
◆ 開催記念企画(下記4 参照)― 同上建物3階 九州大学総合研究博物館常設展示室
◆ 懇親会 ― 福岡リーセントホテル(福岡市東区箱崎 2-52-1)TEL 092-641-7741
九州大学記録資料館架蔵「倭城址図」展示会
(併設展示:「堀口建弐 倭城跡実測図展」)
展示日時 ― 12月10日(土)・11日(日)8:30〜16:00
※ シンポジウムの開演時間中も開館しております.
※ 研究報告・基調報告・討論会に参加せずに「倭城址図」展示会・ポスターセッションのみを御覧になる方については,お申込み(下記7)は不要です.
展示会場 ― 九州大学箱崎キャンパス旧工学部本館3階 九州大学総合研究博物館常設展示室
入場料 ― 無料
出展「倭城址図」 ― 計14枚が存在.内1枚は配置図.
※ 大正11年〜昭和10年の間に陸軍の原田二郎が作製したと推定される実測図.
林浪倭城,機張倭城,東莱倭城,釜山倭城(子城台倭城を含む),亀浦倭城,孤浦里倭城,梁山倭城,金海竹嶋倭城,見乃梁倭城(倭城洞城),固城倭城,泗川倭城,南海倭城,順天倭城,倭城配置図
主催 ― 倭城研究シンポジウム実行委員会・城館史料学会 共催 九州大学総合研究博物館
● 参加費 無料
● シンポジウム資料代(希望者) 3,000円
● 懇親会費 (希望者) 6,500円
● 昼食弁当・飲料代 (希望者) 1,800円(二日分)1日分のみの希望の場合900円
※ 懇親会・昼食の申し込みの取り消しされる場合は必ず3日前までにご連絡ください.
※ 年末の祝前・祝日の福岡市内のホテルは混雑が予想されますので,早目のご予約を勧め致します.
※ 申込用紙は一人一枚です.同行者の方はたいへん御面倒ですが,「参加申込み用紙」をコピーして御使用ください(郵送は同封で結構です).
※ 申込み受付後,内容の確認は当方から致しませんので,必要の方は事務局に確認ください.
※ 定員になり次第,締め切りをさせて頂く場合がありますので,お早めにお申込みください.
展示日時 ― 12月10日(土)・11日(日)8:30〜16:00
※ シンポジウム開演時間中も自由に見学いただけます.
展示会場 ― 研究報告会場(大講義室)周りの玄関・廊下ホール
e-mail: Kijima◎arch.kyushu-u.ac.jp
Kijima◎lake.ocn.ne.jp (※8月5〜24日はこのアドレスへ御願い致します)
↑ ◎ を半角の @ に置き換えてください.