犬飼城
いぬかい じょう

論文と縄張図
改訂: 2010-09-14

 掲載: 『東国の中世城郭中世城郭研究会, 2010-07-30, p. 49.

ページ見本

dot 論考.doc (25KB) …… 下記文書と同一(ただし,縦書き,漢数字)


犬飼城

目黒 公司

(1) 所在地: 栃木県宇都宮市上欠町(地図
(2) 標高/比高 116m/12m
(3) 主要参考文献: 『日本城郭大系』4, 1979. 『鹿沼の城と館』2002.
(4) 掲載した国土地理院発行 1/25,000 地形図の図名: 宇都宮西部

犬飼城の縄張り図 - 目黒公司 2010

 犬飼城は,北から南へ伸びる台地の南端を利用して築城されている.
 曲輪1は,曲輪の北西部を大きく西に突出させている.現状では曲輪2・曲輪3へつながる土橋があるが,遺構と見てよいか疑問が残る.曲輪1の西には曲輪2がある.2は城外からの虎口がある曲輪で,城外から2へ入った場所へ,1の突出部分が当たるようになる.1の北は曲輪3があり,台地続きへ向けて突出した部分を持つ.突出部分の根元の土塁が切れているが,後世の破壊と思われ,城の機能していた時期には,前面に横堀がめぐっていたと推定される.
 これら特徴を踏まえ,犬飼城での戦闘を考えてみたい.台地続きに対しては曲輪3に突出部を設け,敵を西へ追いやる.敵が台地縁の土塁上を進むと,3から側射を行う.敵が曲輪2へ入ると,2では曲輪1の突出部からの援護のもとで白兵戦闘を行うことができる.このように,3は敵への射撃を目的とし,2は敵を殲滅する白兵戦闘を目的としたことが想定でき,2と3とでは機能に違いがあるものと考えられる.
犬飼城は優れた縄張りを持つが,歴史的な点に関しては不明である.


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