城跡の「城郭」としての構造を理解するのに有用な縄張図(なわばりず)の見方を学ぶ機会は,めったにないのが現状です.近年は,全国各地で中世城郭ほぼ全域の大規模な発掘調査や史跡整備もされるなど,復元や整備の観点からも中世城郭の縄張りへの関心が非常に高くなっています.中世城郭の構造の研究においては,縄張図を作成して検討を加えるという手法で成果が積み重ねられてきました.しかし,現状では縄張図について知る機会がまだまだ不足しているのが明らかです.歴史を学ぶ学生の皆さんでも,実際の縄張りに基づいて城郭を知る場は,非常に限られているようです.
当会が主催する城郭見学会は,中世城郭研究会の発足当時から城郭構造を専門に研究してきた会員による,中世城郭の実例を用いた歴史資料と,縄張図の読み方の解説といえる,たいへん貴重な内容です.戦国期に関心はあるが城跡には石碑しかなくて写真に撮るものがないといった方や,それなりに城郭を見学してきたが縄張図の見方が難しいと感じる方などが,中世城郭の見所や縄張図の見方を知る絶好の機会でしょう.見学対象の城は,初めて城郭構造に接する方にもわかりやすい城郭です.秋の手軽なハイキングとしても楽しめるでしょう.
中世城郭について知りたいという気持ちが少しでもあれば,ぜひご検討ください.ご参加をお待ちいたしております.