前の紀行文に戻る                    次の紀行文に進む
				  1994-09-18(1999-01-08 改訂)配付用 
							    西村 和夫  

	 シルクロード西域南路の旅 1994 紀行

メンバー: 亀井哲治郎団長,明知裕司,笠原乾吉,久馬栄道・由理子,佐々木
	豊,鈴木律,染谷誠,高橋真,田淵裕一,長岡一昭,中山哲士,難波
	修,難波完爾,藤田明雄,宮崎健二,湯浅能史,西村和夫 以上 18 名;
	李大建・王麗;  Xohret Mohammed, Yare Mohammed.(敬称略)

概要: 1987 年の Far East Asia Logic Conference(Oct. 26-30,北京)に
	端を発したこの中国ツアーは,今年で 5 回目になる.メンバーも当初
	からはだいぶ変わった.今回は,中国西域の新疆ウイグル自治区
	を巡り,シルクロード天山南路を通ってパキスタンとの国境(Khunjerab 
	峠)まで行ってきた.あの中国のしかも西域で,当初の予定をこなし,
	さらに予定外のトルファンまで寄れたのは奇跡的である.Xohret さん
	に感謝! 思い出のゴビ,タクラマカン砂漠,パミール高原,氷河を
	頂いた 7000m級の山々,少数民族の人々,羊肉,拌麺,西瓜…

コース: 北京 → ウルムチ → ホータン → カシュガル → タシュクルガン 
	→ クンジェラブ峠 → タシュクルガン → カシュガル → アクス → 
	クチャ→ コルラ → トルファン(当初の予定にはなかった)→ 北京

07-08 (金)
  18:30(時間厳守!)龍水楼にて顔合せの会.まめな団長である.
	後日,希望者にはウイグル語の教本とテープのコピーが送付される.

08-07 (日)
   8:15 成田空港全日空カウンタ集合.NH905 便(B747)にて出発.
	ハードな旅を控えて,機内では比較的おとなしくしている.
  14:30 北京着.李ご夫妻の出迎えで,16:00 西苑飯店でしばらく休憩.ほう,
	ロビーでヴァイオリンとフルートの生演奏などしている.
  21:10 北京組と落ち合い,新疆航空公司の飛行機に搭乗.機体はなんと
	АЭРОФЛОТ と書いたままのツボレフ Ty-154M であった.
  25:15(現地時刻 22:15)ウルムチ(烏魯木斉)着.Xohret さんの案内で環
	球大酒店へ.立派なホテルである.砂漠なのに,ちゃんと水も出る!

08-08 (月)
   9:30 こちらでは早朝の時刻である.見晴らしのよい 23 階で朝食.
	やはり町全体がなんとなく黄土色だ.
  10:40 絨毯工場.11:40 バザール.香辛料屋が目につく.さっそく羊肉のシ
	シュケバブを食したが,湯浅氏は口脇に一文字の火傷を負ってしまう.
  12:00 清真(イスラム)飯館でビールと過油肉拌面.この辛いピーマンと羊
	肉の具がかかった麺には,これからたびたびお目にかかることになる.
  13:10 ホテル帰着.13:30 飛行場に出発.
  15:20 飛行機に搭乗.今度は中国仕様になっている TU-154M.西村は安全検
	査のとき,時計まで外してもブザーが鳴ってしまう.サイボーグか?
  16:50 ホータン(和田)着.途中の空は雲ばかりで地上が見えなかった.
	ウルムチから来た日産のバスとランドクルーザ 2 台(タイヤ 4 本の
	メーカがばらばらだったりする)に乗り,Yare さんの案内で,
  18:00 和田賓館.オアシスって広いんだ! 用水があって街路樹もある.
  19:00 藝?徳菜斯綢店で織物の見学と購入.帰りに河原に寄る.
  20:00 帰宿.21:30 ミーティング.自己紹介.

08-09 (火)
   9:45 出発.ゴビでバスがエンコする.地平線を目指して歩いてい
	た笠原先生と長岡氏を,呼子でいくら呼んでも聞こえない.ゴビは音
	を吸う.
  10:15 タクラマカン砂漠.砂曇りのため暑くなくて残念.すぐそばの防砂林
	の裏は水田である.煉瓦工場脇から砂山に登る.李さんに砂漠での
	西瓜の“正しい”食べ方を教わる.子供たちと撮影大会になる.11:25発.
  11:50 博物館.ミイラの本物がある.あくまでも本物です.
  12:40 和田市工藝美術公司で玉の買物.団長は新疆テレビに取材される.
  16:00 昼休みの後,絨毯工場へ.カードが使えず,西村は借金して買う.
  17:15 発.18:00 ごろバスが再びエンコ.皆,先を考えて不安になる.
  18:30 狭い路でバス正面でロバ馬車が転倒するし,羊の群に囲まれるし.
	メリカワット(澳?利克阿瓦提)遺跡着.昔のシルクロード都市の遺跡.
	広い.遺跡の上に登った.子供たちの玉の売込みがうるさい.しかし,
	娘だと思っていたら,実は 17 歳で結婚して現在 24 歳という 2 児の
	母親もいた.どうりで胸が… (^^;)   いや,たくましい.
  19:30 個人宅訪問.結構きれいだ.土の家は涼しい.果物をいただく.
  19:50 発 20:25 帰宿.

08-10 (水)
   8:40 早朝発.9:25 エンコ.ディストリビュータを,Xohret さん
	がウルムチから持ってきたのと交換.これ以降は故障なし.9:45 発.
  14:10 ヤルカンドで昼食.冷えたビールを買いあさる人たち.こういうこと
	には,つとに熱心である.15:20 発.
  17:15 イェンギサール(英吉沙)着.ナイフを買い,瓜などを食べる.
  19:15 カシュガル(客什) Qiniwak 賓館着.本日の走行 526 km.
	 エイティガール寺院付近のバザールに行く.何人かはシフタール
	とかいう楽器を買った.久馬さんは集めているとか.ウイグルの少女は
	かわいい.

08-11 (木)
   8:45 早朝発.不要な荷物(土産など)は一室に置いていくことにする.
	だんだん山地に入り,景色が変わってくる.道もうねってくる.
  12:20 チャッカラーガル湖.大きい.湖畔に牧草地があり,馬や羊が放牧さ
	れている.カザフ族の青年 2 人.西瓜を食べる.
	 この辺でやっと晴れた.日差しが強い.
  13:35 カラクリ湖(峠拉庫利湖).高度 3700m.富士山頂より高い.
	ムスターグ山(7546m)がさらに富士山以上の高さにそびえている.
	気圧が低く,動くと息切れがする.キルギス族の子供が“馬,ゴゲン,5 元”
	とうるさい.しかし,昼食が旨い.日本の観光地も見習うといい!
  15:30 発.道々でキルギス族,カザフ族,タジク族の人々と墓.
  17:30 タシュクルガン(塔什庫尓干)タジーク(塔吉克)のパミール
	(帛米尓)賓館着.タジク族の娘は みんな美しい.
	 皆は 18:20 バスで石頭城(公主堡)に.湿地帯で,はまったらしい.
	 西村はこの間に郵便局を探すが,時間切れ.パミール賓館を探して
	いたイタリア人グループに“タクシーはないのか!?”と訊かれるが,
	そんなもの“没有!”だ.ここをどこだと思っているのか.
  20:00 久馬ご夫妻と西村は石頭城に.けっこう危険な思いをして進入.なか
	なかよくできた城廓である.日が暮れてきたころ帰る.
	 ホテルの湯は 1 階と 2 階とで交互に 15 分ずつ 2 回ほど出るようだ.

08-12 (金)
   9:55 発.クンジェラブ峠を目指す.ホテルの支配人も同行してくれる.
	街外れに税関があり,通関にけっこう時間がかかる(通れない人たち
	もいたので我々は幸運).このほかに検問が 3箇所.途中で兵隊も
	乗ってきた.しかし,税関から国境までに住んでいる人が大勢いる.
	長い山道 だ.自転車で越えようとしている欧州人もいる.プレイリー
	ドッグもいる!
  13:10 クンジェラブ峠 着.標高 4900m.頭が痛い.国境で記念撮影.西村は
	パキスタン側にだいぶ進入したが,射たれなかった (^^).新疆テレビ局
	が撮影に来ていた.鈴木律さんは大もてで抱き上げられたりして
	ツーショットされまくり.逆に,こちらは新人女優の薀倩姆(Yun 
	Chen-Mu)と並んで撮ってもらう.しまった住所を聞きそこなったぞ.
	13:55 発.
  14:20 タジク族のテントのバー.途中で崖に突っ込んだトラック.土砂排除
	作業中で足留め 20 分など.
  16:20 パミール賓館に帰着.明日以降の時間を稼ぐため 17:40 発.
  20:00 カラクリ湖 着.パオで一泊.晩餐で長岡氏は運転手さん達と盛り上がる.
	夜は湖畔で宴会.歌いながら夜は更けていく.満天の星.天の川.

08-13 (土)
        朝は気温が 4℃ まで下がった.日の出を眺める.9:55 発.
  14:00 カシュガルの Qiniwak 賓館に戻り,休憩.
  18:00 アバクホージャの墓(香妃墓)に行く.19:10 帰宿.

08-14 (日)
        部屋を移動することになる.洗濯物が乾いていない人はたいへん.
	 各自自由行動.西村は: 午前中はウイグル娘 2 人に日本語を教え
	て過ごす.簡単なウイグル語の辞書と教科書が役にたつ.録音機を持
	って行けばよかった.昼には新疆によくあるビリヤード(エイトボール;
	負けたほうが場所代 2 元を払う)で少年達と友好.おもしろかった.

08-15 (月)
   8:55 発.すぐに検問にひっかかり,15 分間足留め.
  13:40 三色口で拌面.西部劇のような景色だ.14:40 発.
  18:15 アクス(阿克蘇)友誼賓館着.460km.近代的な市街だ.西村は賓館
	のお嬢さんと 18:55 中国銀行へ行き,やっとキャッシングできた! 
	カードを使った客は今年で 2 人目だそうだ.Xohret さんに借金を
	返す.
	 夕食後,アイスクリームを食べ,賓館のロビーで宴会.なぜかここ
	には蚊が多い.24:00 酔いざましに通りの向こうでビリヤード.

08-16 (火)
   9:05 発.拝城 12:05 昼食.またもや,まめに冷えたビールを捜す
	人たち(3 元だった).14:35 発.ずいぶん手間取ってしまった.
  15:45 キジル(克孜尓)千仏洞.入口でもめる.仏像はなくなり,壁画も傷
	ついているのが残念である.時代も様式も似かよっており,単調(敦煌
	よりも前に観るべきか).下りてきてからの西瓜が旨い.18:35 発.
  20:00 キジルカゴー(克孜尓朶哈)土塔[狼火台か] 20:10 発.
  20:30 Qiuci(亀茲)賓館着.晩餐に仔羊の丸焼き.

08-17 (水)
   9:50 発.10:30 昭怙聲大寺[スバシ(菠巴什)故城]10:55 発.
  11:30 バザール.お焼や果物を買う.11:50 発.直後にセルフサービスの
	GSでガソリンを入れる.
  13:45 輪台の西城餐店で昼食.14:30 発.
  17:55 コルラ(庫尓勒)巴音郭楞賓館着.21:00? モンゴル舞踊.宮崎さん,
	田淵さんと西村が連れ出され,鈴木さんは花嫁に なる.

08-18 (木)
   9:00 発.13:00 庫米什で昼食 13:35 発.途中に事故車が多かった.
  15:00 休憩し,砂山に登る 15:15 発.峠を越えると直線の長い下り.直線状
	にオアシスの緑が見える.
  16:55 交河故城.よくできた城だ.地利,水利ともによい.高さ 30m の崖縁
	は崩れそうだが柵もない.カッと暑く,気持ちよいほどだ.日蔭は涼
	しい.西瓜が旨い.18:00 発.
  18:00 カレーズ(地下水路)見学 18:25 発.
  18:?? トルファン(吐魯番)緑州賓館着.葡萄祭が終わったところ.
	 アイディン湖(海抜 -145m)は干上がって,消滅したそうだ.残念.
	 夜にホテルのホールで相撲をする明知さん,中山さん,久馬さん.

08-19 (金)
   9:05 発.9:15 蘇公塔(イスラム寺院)9:35 発.途中で道路が冠水.
  10:30 高昌故城.ロバ馬車に乗るが,車内で鈴を売りつけられる.西村は歩
	く.塔の柱跡がたくさんある.往時は壮観だったであろう.11:30 発.
	 干し葡萄をまとめて買う.乾燥小屋も見せてもらい,葡萄を頂く.
	旨い!
  12:00 火焔山.歳の順に並んで記念撮影.
  12:50 葡萄溝.ビニール袋 4 角? 14:30 発.荒野に風力発電所がある!
  18:30 ウルムチ環球大酒店に戻る.いやぁ,ウルムチは大都会だ.
	 夕食は屋台にする.中国式クレープもある.シシュケバブもたくさ
	ん.これはよい! その後,ビリヤードをするために皆と離れたのだが,
	また掴まってしまった.(^^)

08-20 (土)
   7:00 早朝食事抜きで出発.7:15 空港着.近くてよい.Xohret さん
	と別れを惜しむ.お世話になりました.
   9:15 搭乗.イリューシン Ил-86 だ.珍しい.ロシア人技師がエンジン
	カバーを開けて困った顔をしている.おいおい、大丈夫か?
	空中に上がってから暫くゴビが見えた.
  12:30 北京着.雨模様.遅れたためかバゲージが出てこない.昼食休憩らしい.
	しかたがないので,外からビールを買ってきて空港で宴会.
  14:30 西苑飯店に戻る.15:30 自由行動.
  18:00 最後の晩餐.食後,ホテルのロビーで難波修さんがピアノを弾く.

08-21 (日)
        昼まで自由行動.

  12:45 発.13:35 空港.李ご夫妻と別れを惜しむ.
  15:15 搭乗.NH906 便(B747)で東京へ.西村は一人禁煙席へ.隣はアメリカ
	在住の中国婦人で医者だそうだ.久しぶりにワインを飲んだ.
  20:30 成田着.
	お疲れさま!						(了)


次の紀行文に進む:  三国誌の蜀 (1994)
ホームページに戻る: 西村和夫のページ Banner