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外挿

3 個の時系列データから次期のデータを推定する方法

問題:

過去の等間隔な時点での 3 個のデータから,次の時点のデータを推定する.

例: 先々週,先週,今週の需要から,来週の需要を予測するなど.

例題:

過去の 3 個のデータが,時刻順に a, b, c だとする(注)

a = 175.8  (先々週)
b = 192.5  (先週)
c = 205.1  (今週)

これらから,次(来週)のデータ d を推定する.

(注) これらのデータは,Wikipedia の記事 [対移動平均比率法] での“3 数値例”の表における“5. 傾向値”のうち,月曜日の列の先々週,先週,今週の値.

いろいろな計算方法が考えられるでしょう.ここでは,計算が簡単になる(和と差だけで済む)方法を紹介します.

簡易な推定法:

d = c + b − a  = 205.1 + 192.5 − 175.8 = 221.8

この方法が正しく絶対的だというわけではありません(念のため). あくまで,簡単に計算できる方法だというだけです.

この方法の根拠を示すために,2通りの考え方を解説します.

考え方1

データは順に増加しているので,
c から d までの増加分は,a から b までの増加分と等しいと推定する.

d = c + (b − a) = 205.1 + (192.5 − 175.8) = 221.8

考え方2

データは順に増加しているので,
b から d までの増加分は,a から c までの増加分と等しいと推定する.

d = b + (c − a) = 192.5 + (205.1 − 175.8) = 221.8

どちらの考え方にしても,等しい値 (c + b − a) が得られます.

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(参考) 考え方3 …… 筋が悪い

データは順に増加しているので,
c から d までの増加分は,a から b までの増加分と,b から c までの増加分の平均値に等しいと推定する.

d = c + {(b − a) + (c − b)}/2 = 205.1 + {(192.5 − 175.8) + (205.1 − 192.5)}/2 = 219.75

この計算方法は,悪い.

理由:  データ b を結果的に無視しているb の値が何であっても d の値は変わらない)からである.

確認:  式を変形すると,d = c + {b − a + c − b}/2 = c + (c − a)/2 となり,中間の値 b が消えてしまう.

注意:  Excel などで作表をしていると,上のような間抜けなことをしがちなので,注意が必要です. 数十個のデータがあっても,先頭と最後の 2 個のデータだけで結果を出すことになってしまいます.

誤った例: 何周かを廻る競技で,各周の通過時刻を記録し,それらの差からラップタイムを出して,平均する. → 正しいやり方: 10 周の場合,1 周目と 6 周目というように,5 周ごとの通過時刻の差を出して平均し,5 で割る.

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改訂 2017-12-18 ← 作成 2017-01-14 西村和夫

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NISHIMURA, Kazuo nishimura@komazawa-u.ac.jp