経営科学概論(詳細版)
136511 営 234 選 / 市 2 選必
駒澤大学 経営学部 (0663) 西村和夫
2019 年度のシラバス
講義のねらい
生産活動には,本来の物作りの技術のほかに,高能率,高品質,低コスト,短納期を達成するための効率的な生産システムの設計・改善および維持管理の技術が必要である.わが国の産業界は,いち早くQC(品質管理),IE(経営工学)・OR(オペレーションズリサーチ)をはじめとする経営管理技術を導入することによって生産,品質,コスト面で飛躍的発展を成しとげた.
この講義では QC,IE,OR を中心に,経営管理技術の基本的な理論と方法を概説する.また,今後本学部において経営科学系の科目を受講する上での基礎を学んでいく.
講義の内容・授業スケジュール
全体を大きく 1,2,3 の部分に分けて講義を行う.1 ではこの講義で扱う学問領域(一般に経営工学と呼ばれている)を概観し,経営工学の歴史と現在の変化を説明する.2 では経営工学が対象とする経営管理の諸分野を取りあげる.3 では経営管理のなかで用いられている技術的な各種手法について解説していく.ただし,2 と 3 は相互に関連するものであり,必要に応じて順番を入れ替え,両者が有機的に結びつくよう講義を進めていく.
- 経営工学の概略と歴史
- 経営科学・経営工学とは
- 歴史(産業革命から簡単に)
- パラダイムシフト(儲け至上 → 品質の向上,環境保護,社会的責任,労働の質)
- 企業に対する要求(ISO 9000, ISO 14000, ISO 26000)
- 経営工学が対象とする諸分野
- 経営計画: 経営計画の策定,経営情報のシステム化
- 販売管理: マーケティング活動,販売計画
- 生産管理: 生産方式,設備配置計画,日程計画
線形計画法の概要(定式化),損益分岐点,PERT/CPM
- 設備配置計画: ラインバランシング
- 資材調達: 在庫管理
定量発注方式と定期発注方式,最経済発注量 EOQ
- 品質管理: 統計的品質管理,総合的品質管理
正規分布,管理図,抜取り検査
- 経営管理技術の各種手法
- 狭義のIE: 動作研究と作業測定
- 経済性工学: 資金の時間的価値,設備投資案の経済計算
現在価値 (DCF) による投資案比較法(複利,等比数列の和)
- データ解析: 需要予測,推定と検定,回帰分析
指数平滑法,移動平均,対移動平均比率法,単回帰分析
- QC七つ道具: パレート図,特性要因図など
- その他の道具: ABC分析,ガントチャート(進度管理図)
- 性能評価方法: ポアソン分布,待ち行列理論,シミュレーション,システムの信頼性解析 (MTBF, MTTR)
- システム解析: システムの概念,情報処理システム
- 問題の発見と解決: 問題解決のプロセス(問題発見〜実施のサイクル)
ブレインストーミング,KJ法,デルファイ法
- その他
履修上の留意点
履修に際して予備的な知識は必要としない.教科書はあくまで参考として用いるものなので,毎回出席してきちんとノートをとること.また,手法についての理解を深めるために適宜演習を行う.
成績評価の方法
演習 14%, ノートの提出 14%, 課題授業 4%, 意見 3% と定期試験(期末) 65% によって評価する.
★ 試験問題の作り方(一般論)
教科書
秋庭雅夫他著『経営工学概論』(朝倉書店)¥3,800円
参考書
佃純誠他著『新しい経営工学』(中央経済社)¥3,780円
★ 参考資料
NISHIMURA, Kazuo nishimura@komazawa-u.ac.jp