ゼミ論文のページ数の増やし方
西村和夫 改訂:2021-12-20 作成: 2021-12-07
論旨が通って,分かりやすく,説得力のある論文を書くことが重要です。
やたらにページ数を増やすことは目的ではありません。
同じ内容を伝えるのなら,むしろ文字数は少ないほうがよいです。
それでもページ数を増やしたいのなら,骨格がしっかりできているゼミ論文のページ数を増やすのは,さほど大変なことではないはずです。
例えば,次のような手段があります。
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アンケートの調査方法と内容の詳細化
誰が,いつ,何人に,どういう手段(電話,Web など)でアンケートを取ったかを,出典からコピーして詳述する。これだけで,1/2~1 ページにはなります。データやグラフも取り込めば,かなりのページ数になるでしょう。ただし,主要な論旨の妨げにならないように,本文中に取り込むのではなく,注,別枠,付録に回すなどの工夫をしてください。
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出典からの漏れの再確認
本文中の参照記号で参照している参考文献をもう一度読んで,書き漏らしていること,省略していることはないかチェックしてみましょう。
- 出典からの要約の詳細化
出典にある記述を自分でまとめて端的に引用している箇所は,詳細に記述することができます。ただし,すでに書いてある文を削除して置き換えるのではなく,すでにある文は段落の先頭に頭括文として残し,その後ろに詳細な記述を補うとよいでしょう。
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頭括文の補足
段落が頭括法で書かれていなかったら,段落の先頭に段落の内容を表すトピックセンテンスを補いましょう。それで,読者は読みやすくなります。
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ページ区切りの挿入
ゼミ論文では,節ごとにページを替えるほうがよいです。もしそうなっていなかったら,ページ区切りを挿入しましょう。
ただし,ページ替えは節(2. など)ごとであって,その下の項(2.3 など)ごとではないことに注意してください。
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箇条書きの採用
本文中にいくつかの項目を併記していたら,箇条書きに変更することを検討してみましょう。ただし,読みやすくなったり,見通しが良くなることが前提です。
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グラフの挿入
具体的な数値が書いてある場所にグラフがなかったら,グラフを挿入することを検討してみるとよいです。グラフには訴求力があり,見やすくなります。
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節・項の表題の上下を空ける
項の表題の上下は,少し空けるとよいです。とくに上は,1行分を空けるほうがよいです。(表題は,フォントも少し大きくするとよいでしょう。)
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フォントを大きくする
指導教授は老眼になっていることが多いので,フォントを大きめにするほうが喜ばれます。
本文のフォントの標準は 12p(12 ポイント)です。10.5p で書いている人は,本文全体を 12p にするだけで少し行数が増えます。
上記のほかにも,ページ数を増やす手段はあるかもしれません。
しかし,大事なことは論旨が通って,分かりやすく,説得力のある論文を書くことであり,やたらにページ数を増やすことは目的ではありません。同じことを伝えるのなら,むしろページ数は少ないほうがよいです。1ページあたり 30 行で 30 ページは目安であって,目標値ではありません。明快な論旨を支えるための工夫をしてください。
皆さんは,すでに 20 ページ以上の論文を書いています。私からの指摘事項を修正すれば,そのままでも立派な論文になるはずです。自信をもって,さらにブラッシュアップしてください。
NISHIMURA, Kazuo (nishimura@komazawa-u.ac.jp)