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表紙 (C) Nishimura 2023

階段状削平地群と堀切との土量の比較

紙上報告 原稿
改訂: 2023-07-17

西村 和夫
中世城郭研究会

要約

山腹または傾斜した尾根に,複数段の階段状削平地群を作るのと 1 本の大きな横堀または堀切を作るのとでは掘削する土量がどれくらい異なるのかを,それぞれをモデル化し,土量を計算して比較した.数値例も示した.

 構築場所: 次の 2 種類の場所について考えた.

  1. 山腹の場合
  2. 稜線が傾斜した尾根筋の場合(稜線が尾根の先端に向かって下っている場合)

 構築物: 次の 2 種類の構築物を対象として,掘削する土量を計算した.

  1. n 段の階段状削平地群(奥行,高さ,下端幅 から計算した)
  2. 1 本の大きな堀(堀幅,深さ,堀底幅 から計算した)

これらの組合せによって,場合は A1, A2, B1, B2 の 4 通りになった.構築物が 2. 堀のとき,場合 A2 では横堀になり,B2 では堀切になる. 構築物が 1. のときは,A, B によらず「階段状削平地群」と呼ぶことにした.

簡単な計算の結果,どの場合においても,掘削する土量は,奥行(堀幅),高さ(深さ),下端幅(堀底幅)などに比例することが確認できた.土量はへき(切岸)の勾配には無関係であることも分かった.

稜線が傾斜した尾根筋においては,深い堀切に比べて,壁の高さが(堀切の深さの)1/3 以下で 2 段以上(10 段以下)の階段状削平地群を掘削するほうが土量は少なくなることが分かった.

目的

この報告は,階段状削平地群を防御施設として考えるときに,堀切と比べてどちらが有利かを検討するための基礎資料を提供する.ここでは掘削した土量だけを考察していて,実際の掘削作業の作業量や作業効率には触れていない.作業量を見積もるときの基礎データを提供することを目的としている.

dot 予稿の Web ページ  2023-07-19 (40 KB)

  [PDF] 配布資料  2023-07-17 (0.8 MB)
 [docx] 配布資料(原版)  2023-07-17 (0.6 MB)

このページへの検索キーワード:  段畑状遺構, 堀切, 土量


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