註
- ここでは土量だけを考えている.実際の構築では,各段の掘削は同時に並行して行えるであろう.図 3 のように掘削した土を過不足なく下の段の上部に盛土するには精密な測量と設計が必要であろうが,実際の構築ではさほど精密である必要はなかったと思われる.
- 稜線の勾配は,h / (d + r) になる.
- 掘削した土をどこに移動するかは問題にしないので,盛土の形状はこの形に限らない.
- 通常の勾配(高さ/水平距離)の逆数 t を法勾配という.
- 簡単にするために,(B1) における r を 0 としている(r が 0 でなくても h に対して小さければ,法勾配の値に大きな差はない).また,この法勾配は平面図において稜線に対して直交する方向に測っており,傾斜の最も急な方向ではない.
- 堀の法面の勾配は 1 が標準であり,堀切の両側の上端の高さが等しければ 堀幅/深さ は 2 になる.例えば,『武教全書講義』 [山鹿・碧川] には,「堀口 十間 深さ 五間」とある.一般的な土質では,法面の勾配を 1 より大きくすると崩れやすくなる.
- 係数 ∛c/(nu) の値は,c や n が変化してもあまり変わらない.それは 3 乗根をとっているからである.例えば,段数が n = 5 からその 2 倍の n = 10 になっても,係数は 0.79 倍にしかならない.また,幅深さ比が c = 2 からその 0.5 倍の c = 1 になっても,係数は 0.79 倍にしかならない.もし,幅深さ比が c = 2 からその 1.5 倍の c = 3 になっても,係数は 1.14 倍にしかならない.
作成: 2023-07-21