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慶應義塾大学工学部
1974 年卒(32 期)同期会 |
連合三田会大会(2006 年 10 月 15 日)当日の
32(ミニ)講演会
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Last updated 2006-10-23
ポスト団塊世代の自分ブランド創り
甲斐莊 正晃
(かいのしょう・まさあき)君
内容
- はじめに
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昭和 51 年に大学院の修士課程を出て三井銀行に就職し,その後 SAP(ドイツのソフトウェア会社),国内のコンサルタント会社での勤務を経て 2 年前に独立し,主に企業,官庁向けのコンサルティングをやっている.今日は“ポスト団塊世代の自己ブランド作り”という話をしたい.実のところ個人向けの話をするのは初めてのことでうまく行くかどうか分からないが,うまく行ったら他所でも話してみたいという気もする.
- ポスト団塊世代 = 総倒れの世代
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われわれが属する世代は,“ポスト団塊世代”と呼ばれている(人口構成のグラフで見ると,いわゆる“団塊の世代”の直後の世代で,団塊の世代よりは少し人口が少ないが後々の世代よりも数は多いという世代).
ポスト団塊世代は,“さんざん競争させられた挙句総倒れ”の世代である,というのが私の基本認識だ.これまで“ひたすら真面目に頑張っていれば,いつか誰かが気付いて評価されるはず”と考えて頑張ってきたが,あまり評価されることもなく総倒れ状態にある,という意味だ.
- キャラ立ち
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ポスト団塊世代にとって,これからは“世間に認識されたい”,“これこれについてはあの人が一番と思われたい”,“キャラ立ちしたい”と思うことが重要になるだろう.
- キャラ立ちしている例
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例えば“完璧な人”と聞いて誰を思い浮かべるか? →“イチロー”.あるいは,“優しい人”と聞いて誰を思い浮かべるか? →“ペ・ヨン・ジュン”.イチローもヨンさまも“キャラ立ちしている人物”の好例だ.こういう風になればよいということなのだが,“では,どうすればキャラ立ちできるか?”
- ブランドの歴史
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ちょっと話題を変えて,ブランドについて話したい.“ブランド”はもともとは“燃え盛る木”という意味で,歴史的には,次のように意味合いが変わりながら今に至っている.
- 持ち主を示すためのブランド: 例えば“牛の焼印”
- ニセモノと区別するためのブランド: 例えば“ウィスキーの樽の焼印”
- メッセージを伝えるためのブランド: 広告宣伝機能をもつブランド
現在では,ブランドが“価値の共有”とか“共通の価値観を伝える道具”として認識されていることが重要だ.
- ブランドの階層構造
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ブランドの“階層構造”についても触れておきたい.ブランドには,階層構造(上下関係)があって,企業のブランドであれば,“国ブランド”,“企業ブランド”,“事業ブランド”,“商品ブランド”といった形になっており,それらは相互に作用を及ぼし合っている.
例えば,BMW ブランドはドイツブランドということでもあり,“ドイツブランドの車だからよい”という面もあるし,“BMW の車は素晴らしい” → “ドイツの車作りは優れている”(ドイツブランドの向上)という面もある.
個人ブランドであれば,“地球(人)”,“国”,“地域”,“家族”,“個人”といった各階層のブランドを考えることができる.さらには,その個人が属する“企業”,“出身校”などがブランドとして働いている.
- ブランドの在りか
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“ブランドはどこに存在するのか?”と考えてみる.ブランドは実のところ“モノ(やサービス)を買ってくれる人の「頭の中に」ある”と言える.つまり要は“期待”なのだ.
したがって,ブランド作りは“どうやって期待感を植え付けるか”ということになる.
- ブランドの伝え方
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(ブランドが十分に伝わればキャラ立ちした状態ということになるが)ブランドの伝え方として,“広告”,“口コミ”,“ネットコミ”,“顧客の実際の使用体験に基づくブランドの評価”などがあり,重要なことは“ブランドとは顧客の思い出の小箱の中身(顧客の思い出の中から作られた期待)である”という認識だ.
- キャラ立ちしているブランドの例 = 車
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私は車が好きなのだが,車の例でキャラ立ちしているブランドをあげるとすれば,“高級”と“先進性”のフェラーリ,ポルシェ,“高級”と“信頼性”のロールスロイス,“信頼性”の高いボルボ,“先進性”と“割安度”でトヨタのプリウス,“信頼度”と“割安度”のわが国軽自動車などがある.
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“○○○ならば一番”となればよいわけで,この○○○は何でもよい.
- 皆さんに相応しいブランド・キャラを考えてみましょう
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(ワークシートを使って自分ブランドのブランド・メッセージ作りの作業を各自実践.)
“ブランド”とは,貴方への期待の“継続的な提供”であり,“外側 = 他人の視線”で貴方の“売り”を考えてみることが重要,とのリマーク.
- 自己ブランドの伝え方
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外見だけのブランド作りは場合によっては悲劇になる.企業ブランドの例で言えば,JR 西日本,三菱自動車,雪印などに起きたことを思い浮かべればそのことがよく分かる.
<記: 応化・松下 律>
甲斐莊 正晃
(かいのしょう・まさあき)君
略歴:
1974年慶應義塾大学工学部管理工学科卒業,1976年同大学院修士課程修了.
三井銀行システム部,さくら総合研究所システムコンサルティング部,SAP ジャパンディレクターを経て,現在に至る.
現在:
株式会社 KAINOSHO(旧社名:ケイブレイン株式会社)代表取締役.
大妻女子大学短期大学部講師.
大阪府立大学大学院経済学研究科後期博士課程在籍.
著書:
甲斐莊正晃『インナーブランディング ― 成功企業の社員意識はいかにして作られるか』中央経済社(2005年) ほか多数.
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