経営科学概論Ａ(火3)(西村　和夫)

授業では充分に言えないことを，ここに補足しておきます。

• 国や市などの災害対策本部の設置には，数時間かかることがある．自衛隊に比べるとかなり遅い．
• 日本では緊急災害対策本部を臨時に設置するが，アメリカでは常設である．山火事などで，常時訓練ができている．それでも，9.11（2001 年）では充分な対応ができなかった．
• 9.11 でのワールドトレードセンター (WTC) での死者は，NY 市消防局の消防士 343 人，NY 市警察本部の警官 23 人だった．消防士の死者が圧倒的に多いのは，消防士のほうが勇敢だったからではない．消防隊の無線機は古く，南棟が崩れたという情報が北棟内の消防士たち に届かなかった．警官の無線機には届いて退避を開始したが，非常階段ですれ違う消防士たちは警官の言うことを聞かなかった． ⇒ 異なる組織間の連携が必要だということ．
• WTC の屋上への非常口は閉まっていた．鍵は下方（23 階？）の管理室にあった．旅客機の突入による火災は，もっと上で発生している．
• 非 常口に鍵をかけるようになったのは，1993 年の WTC 地下駐車場爆破事件のときに，屋上から NY 市警察のヘリコプターが救出作業をしてからだといわれる．それ以降は，警察のヘリコプターには消防士を同乗させていなければ救出作業をしてはならない規則 になり，それは１度も実現していない．
  
• 災害用伝言ダイヤル「171」は覚えておくほうがよい．非常時の家族との連絡方法に LINE と回答している人が何人もいる．[大災害時に携帯はつながらない] ことを認識しておくべきだろう．複数の連絡手段を確保しておくこと．
  
• 携帯による通信は，停電になった場合，30 分から２時間で使えなくなる．地上各所の送受信局のバッテリーがそれくらいしかもたないからだ．
• スペアバッテリー（モバイルバッテリー）を常時持ち歩くこと．携帯のバッテリーの残量が少ない状態で停電になると，そのときの残量でまかなえる時間しか通信ができない．地上局が健全であってもだ．また，残量が少ないと，携帯の照明も事実上使えなくなる．
• スマホだけに頼っていると危険であり，リスクは分散すべきだ．バッテリーがなくなると，通信装置（LINE，電話，メール，Web ブラウザ など），電話帳，照明，地図，GPS，時計，カメラ，テレビ，音源，ゲーム機，電卓 の全てを同時に失ってしまう．
• シャワートイレ用ペーパー は，断水時に調理道具や食器などを拭いたりするのにとても便利だ．トイレットペーパーでは貼り付いてしまい，うまく拭けない．
• ラップ も食器を覆って使うのに便利だ．断水時には，洗えないからだ．トイレの代わりにも利用できる．
• ポリ袋 も，トイレの代わりに使用できる．
• 水洗トイレは，大震災時にはまず使えない．水が流せることが確認できるまで，使わないほうがよい．１回は使えても，２回めには水が流れないことがある．
  
• とにかく「トイレ」を覚えておこう．準備には緊急を要する．
  
  • もし大震災時に大学にいたら，すぐにシャベルを持って駒沢公園に行き，長い溝を何本も掘ること．段ボールの覆い（目隠し）も必要．
  • 糞便が山になる前に掘る必要があるので，緊急を要する．