開催記録

第42回全国城郭研究者セミナー

テーマ:中世城郭の「櫓台」

2026年に開催された第42回全国城郭研究者セミナーの公式開催記録です。

開催結果

開催日
(土)・(日)
会場
駒澤大学深沢キャンパス
主催
第42回全国城郭研究者セミナー実行委員会・中世城郭研究会
参加者
232名

2026年8月29日(土)・30日(日)に開催した第42回全国城郭研究者セミナー「中世城郭の『櫓台』」は,232名の皆様にご参加いただき,無事終了いたしました.

ご参加いただいた皆様をはじめ,ご報告・運営にご協力いただいた皆様に,心より御礼申し上げます.

開催概要

日時
(土)・(日)
会場
駒澤大学深沢キャンパス(東京都世田谷区深沢6-8-18)
主催
第42回全国城郭研究者セミナー実行委員会・中世城郭研究会
テーマ
中世城郭の「櫓台」

開催写真

第42回全国城郭研究者セミナー懇親会の集合写真
 懇親会

プログラム

(土)

  1. 10:20〜10:50
    受付
  2. 10:50〜10:55
    開会挨拶

    浅倉直美 (駒澤大学文学部 准教授)

  3. 10:55〜11:00
    日程説明
  4. 11:00〜11:45
    A.大高城跡の発掘成果について

    纐纈茂 (名古屋市教育委員会文化財保護課)

  5. 11:45〜11:55
    質疑
  6. 11:55〜13:25
    昼食・書籍交換会
  7. 13:25〜14:10
    B.石見津和野城における天文期攻防戦について―周辺城郭の縄張りを中心に―

    村田陽 (城郭談話会)

  8. 14:10〜14:20
    質疑
  9. 14:20〜15:05
    C.唐津藩における本城支城体制の実態

    坂井清春 (唐津市教育委員会)

  10. 15:05〜15:15
    質疑
  11. 15:15〜15:30
    休憩
  12. 15:30〜16:15
    D.陸奥国糖部郡聖寿寺館跡の発掘調査成果

    布施和洋 (南部町教育委員会社会教育課史跡対策室総括主査)

  13. 16:15〜16:25
    質疑
  14. 16:25〜16:30
    休憩
  15. 16:30〜16:40
    E.趣旨説明 中世城郭の「櫓台」

    第42回全国城郭研究者セミナー実行委員会

  16. 16:40〜17:25
    F.千葉県北西部の様相から見る関東の櫓台

    田嶌貴久美 (中世城郭研究会)

  17. 17:25〜17:30
    事務連絡
  18. 17:30
    終了
  19. 18:00〜20:00
    懇親会:駒澤大学深沢キャンパス 洋館大ホール

(日)

  1. 9:00〜9:20
    受付
  2. 9:20〜9:25
    事務連絡
  3. 9:25〜10:10
    G.中世城郭の「櫓台」の実相

    小山文好 (中世城郭研究会)

  4. 10:10〜10:55
    H.丹波国における中世城館の櫓台について―天田・氷上・多紀郡を中心に―

    小畑 皓恭 (城郭談話会)

  5. 10:55〜11:05
    休憩
  6. 11:05〜11:50
    J.櫓台―四国地方―

    日和佐宣正 (戦乱の空間編集会事務局)

  7. 11:50〜13:20
    昼食・書籍交換会
  8. 13:20〜14:05
    K.北部九州における中世の「櫓台」

    小柳和宏 (北部九州中近世城郭研究会)

  9. 14:05〜14:20
    休憩
  10. 14:20〜16:20
    討論会 テーマ:中世城郭の「櫓台」

    テーマ報告者5名による討論会

    司会:髙田徹 (城郭史料研究会)

  11. 16:20〜16:25
    閉会挨拶

    八巻孝夫 (中世城郭研究会)

  12. 16:25
    終了

紙上報告

第42回全国城郭研究者セミナー紙上報告
記号報告内容
L.北陸・飛騨における中世城郭の櫓台
佐伯哲也 (北陸城郭研究会会長)
M.近世城郭の櫓台―中世城郭の櫓台を考えるにあたって―高田徹 (城郭史料研究会)
N.鹿児島における中世城郭の「櫓台」
上田 耕・有川孝行・吉本明弘 (南九州城郭談話会)
O.福島県浜通り地方の中世城館の櫓台
垣内和孝 (郡山市文化・学び振興公社)
P.近世の村の境界争いでの「土櫓」 ― 長岡藩領浦瀬村と菰沢村の事例 ―
目黒公司 (中世城郭研究会)
Q.福島県南部の櫓台
山本浩之 (中世城郭研究会)
R.島根県における櫓台について
寺井毅 (中世城郭研究会)
S.鳥取県の「櫓台」
木地谷了一 (中世城郭研究会)
T.茨城県の「櫓台」―鹿島・行方地方の事例を中心に―木地谷了一 (中世城郭研究会)

テーマ趣旨

1.問題設定

第42回全国城郭研究者セミナーのテーマは中世城郭の「櫓台」です。一般に「櫓台」と聞けば、近世城郭における石垣造りのそれを想起するでしょう。しかし今回のセミナーが検証の対象とするのはその多くが土造りの、中世城郭の「櫓台」です。

これまで全国城郭研究者セミナーでは、堀、虎口、馬出といった城郭を構成するさまざまなパーツについて議論してきました。しかし、「櫓台」は多くの中世城郭において認められる普遍的な存在であるにもかかわらず、その形状、立地、機能の整理が十分になされているとは言えず、定義が広く共有されているとは言いがたい状況です。台上に実際に櫓が建っていたのかどうかもふくめ、その評価は各調査者や研究者の判断に委ねられているのが現状ではないでしょうか。

そのため、今回のセミナーでは中世城郭の「櫓台」をテーマとし、各地域の具体的事例に基づく報告と討論を通じて、その実態についての共通理解を形成することを目的とします。

2.「櫓台」の作業上の定義

このセミナーでは議論を進めるための作業仮説として、中世城郭の「櫓台」(以下、櫓台)を以下のように定義します。

塁線に接して形成された方形、またはそれに準ずる土壇であって、兵員の配置や防御・制圧機能を想定しうる遺構

櫓台の形状は方形、あるいはそれに近いものを基本としながらも、台形、不定形、指差し状の突出部、中央が窪んだものなど多様です。土塁の一部として形成される場合と単独の土壇として築かれる場合があり、塁線から外側に張り出すものと張り出さないものがあります。

櫓台の立地は、塁線上で外側の堀との高低差を確保できる場所、あるいは塁線の隅部や折りの部分に設けられる例が多いようです。また塁線の途中に設けられる場合も張り出しのある場所に設けられる場合が多くあり、こうした立地は、高低差の形成や横矢掛かりを意識した配置であり、櫓台が城郭を防御するための一要素として意図的に設けられたことを示します。

3.5つの機能類型

櫓台の機能については別紙に記した研究史を踏まえつつ、以下の5つのタイプに分類しました。

  1. 塁線や堀・堀切と組み合わさり高低差を利用して堀部を制圧するもの。
  2. 塁線からの張り出しによって横堀内・対岸・塁壁などに横矢を掛けるもの。
  3. 虎口に対し横矢を効かせるなどして制圧するもの。
  4. 虎口以外への導線を統制するもの。
  5. 見張り等、塁線とは離れてやや性格を異にするもの。

なお、台上に櫓が実際に存在したかどうかについては問わないこととします。というのは地表面観察でも、あるいは発掘調査の成果でも、明確に判断できない事例が多く見られるからです。

そこで今回のセミナーでは、櫓の有無を前提条件とせず、先に示した定義(形状、立地、機能)にかなうものであれば、櫓台として検討の対象とします。

4.検討課題

今回のセミナーの第一の目的は、具体的な遺構観察と縄張図研究に基づき、櫓台がなぜその場所に設けられ、どのような機能を担っていたのかを明らかにすることです。報告者の皆様には、櫓台の位置、形状、周辺遺構との関係を示したうえで、前章で示した5つの機能類型を参考に整理をお願いしています。

第二の目的は、各地域の報告を集積することで、櫓台の分布や地域差を把握することです。機能別に整理することにより、特定の機能が特定地域に集中するのか、あるいは広域的に共有されるものなのかを検討します。

第三の目的は、発掘成果も踏まえ、櫓台上の構造について議論することです。礎石や柱穴の有無・配置状況などから、櫓・井楼・柵列など、どのような構造物が想定されるのか、あるいは必ずしも建物を伴わない形の兵員の配置(駐屯)空間であった可能性が高いのか、などについて考えていきます。

また、報告者の皆様には討論で深めたい論点を少なくともそれぞれ一点、提示して頂けるようお願いしています。全国城郭研究者セミナー実行委員会で設定する論点と併せて整理し討論会の出発点とすることで、個別事例の報告にとどまらず、全国規模で櫓台についての議論を深めていくことを目指したいと思います。

関連資料

機能類型ごとの図版

5つの機能類型に対応する図1から図12を掲載しています。

図版を見る

別紙

補足、研究史、参考文献、各地域の事例研究を掲載しています。

別紙を見る

参加者アンケート結果

第42回全国城郭研究者セミナーの参加者アンケートでは、101名の方から回答をいただきました。集計結果を別ページで公開しています。

アンケート結果を見る

当時の開催要項

以下は開催時に案内した内容の記録です。申込み・募集は終了しています。

開催日程
(土)・(日)
会場
駒澤大学深沢キャンパス(東京都世田谷区深沢6-8-18)
参加費
参加費:3,000円(資料代含む)/当日参加:4,000円
懇親会費:6,000円/当日参加:6,500円(先着5名)
申込期限
(木)をもって締め切りました.
情報交換室
パンフレットや縄張図など無料資料の交換・配布、研究情報や意見交換を行う部屋を用意いたします.
 10:20〜18:00
 9:10〜15:00
報告者の公募
1日目に行う一般報告の報告者を公募していました.
募集:1名程度,発表時間30分
締切:2025年12月31日(必着)